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連載池上さんに聞いてみた。

趣旨だけ聞けば“当然のこと”に思える「土地規制法」 深夜まで及ぶ与野党対立を生んだ“問題点”はどこ?

池上さんに聞いてみた。

2021/06/28

Q 土地規制法、どうしてここまで攻防に?

 6月16日、未明の国会で土地規制法が成立しました。法案をめぐり、国会閉会直前に与野党で深夜にまで及ぶ攻防が続いたとニュースで見ました。ただ、「重要施設や国境の離島について、周辺の土地や建物の所有者などを政府が調べることができる法律だ」とは解説されていたのですが、正直それだけ聞くとどうしてここまで激しい攻防になったのか分かりません。なぜ議論は激しく対立してしまったのでしょうか。(20代・男性・学生)

6月15日、参院内閣委員会で与党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で法案が可決され、一礼する小此木八郎領土問題担当相(左)©️時事通信社

A 「国防と人権」のバランスが問題に。運用次第では…

 日本の土地は外国人でも自由に売買できますから、国の防衛にとって重要な場所の周辺の土地を、某国の諜報機関の関係者やダミー企業が所有していたら嫌ですよね。こういう場所について監視する法的根拠を作ろうというのが法案の趣旨です。この趣旨だけ聞けば当然のことと思えますが、問題は詳しい内容は法律ではなく政令で決めることになっている点です。

米軍基地周辺など国防にとって重要な場所の周辺の土地を監視できる法的根拠を作ろうという趣旨だが…… ©️文藝春秋

 たとえば重要施設の周囲約1キロや国境離島を「注視区域」に指定でき、土地や建物の持ち主や借り主について調査できることになっていますが、沖縄の米軍基地の周囲1キロには数万人の住民が住んでいます。この法律ができると、運用次第では、「米軍基地に反対している人物ではないか」という思想調査も可能になるのではないかと反対する人たちがいるのです。

 政府が政令で自由に調査対象者と調査内容を決めてしまっていいのか、というのが法案に反対する人たちの意見です。いわば「国防と人権」のバランスの問題です。

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