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 昨年10月に開かれた刑事裁判の初公判で、飯塚被告は、真菜さんの夫である拓也さん(34)に視線をあわせることなく、「心からお詫びします」などと静かに謝罪。事故自体は「アクセルを踏み続けたことはない」「車に異常があった」などとして、無罪を訴えた。

2019年6月13日に行われた実況見分。捜査開始前の午前9時45分ごろ、現場で手を合わせる捜査員 ©文藝春秋

 検察側は冒頭陳述で、前の車に近づきすぎたために車線変更を繰り返し、アクセルを踏み間違えて時速約96キロまで加速して、真菜さんらに衝突したと指摘している。また、1ヶ月前の点検でブレーキ、アクセルに異常が確認されていないことや、ブレーキが踏まれた記録も残っていないことから事故の原因は飯塚被告の過失にあったと主張しているのだ。

「人殺し」法廷で傍聴席から発せられた言葉

 12月3日の公判では、事故を目撃した証人が「ブレーキランプはついていなかった」「減速せず、赤信号の交差点につっこんでいった」と証言した。

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事情聴取では「アクセルが戻らなかった」などと話している ©文藝春秋

 12月14日の公判で弁護側は「経年劣化し、トラブルが起きてブレーキが作動しなかった」と主張したが、2月1日の裁判で証言した警視庁の担当者は「車両に異常があると暴走できない」と切り捨てた。

 「人殺し」

 同日の公判が終わると傍聴人が発言して、法廷内はざわついた。大手紙司法担当記者は「飯塚被告側の主張は説得力がない。傍聴している人には、飯塚被告が真摯に事故に向き合っていないように映るんです」と話す。