1ページ目から読む
3/3ページ目

心に誓った「この2人を守り、絶対に幸せにする」

 2月9日の民事訴訟で拓也さんは悲痛な胸のうちを意見陳述で述べた。

夫・松永拓也さん

 

「2014年にプロポーズをしました。『頼りない男だけど、あなたを幸せにしたい気持ちは誰にも負けません』。そう伝えると、真菜は泣いて喜んでくれました」

ADVERTISEMENT

「2016年1月11日に娘の莉子が生まれました。『かわいい』と言いながら涙を流し喜ぶ真菜と、懸命に泣いている生まれたばかりの莉子。<略>『この2人を守り、絶対に幸せにする』と心に誓いました」

「3人で色々なところに行きました。春は花見、夏は海やお祭り、秋は紅葉を見て、冬は莉子が好きだった温泉に。暖かい日は、真菜の手作りパンを持って、3人でピクニックによく行きました」

「2019年4月19日。警察からの電話で病院に向かった私は、妻と娘の並んだ遺体と対面しました。真菜の顔を見ると、傷だらけになって冷たくなっていました。娘の顔は原型を留めておらず、小さな手を握っても二度と握り返してくれることはありませんでした」

実況見分での飯塚幸三被告 ©文藝春秋

 2人の尊い命を奪ってしまった飯塚被告。

 自動車運転処罰法違反罪に問われており、交通裁判は時間がかかることが多く、控訴審も、となれば先行きは不透明だ。また、示談がなければ実刑の可能性が高い。

 ただ、90歳を間近に控え、高齢を理由に執行停止の可能性もある。もしそうなれば「上級国民」との批判がまた巻き起こりかねない。まずは会見を開くなど真摯な説明の場を設け、拓也さんが求めるように、自身の口から真実を述べ、真実を明らかにするべきではないだろうか。