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「安さ第一主義」の中で、まかり通っていた“違法行為”

「『南武』は不祥事がある度、イメージを払拭するため、名前を変えていたのだと思います。『南武』の会長は昨年に旭日双光章をもらい、業界団体の理事長も務めた有名人。ですが、1992年に脱税で有罪判決を受けています。それもあって『知念興業』から『南武建設』へ名称を変え、その後、前述のようにマンション建設現場の事故を起こした後にも再度、名前を変更している。つまり、不祥事は今回が3度目。全く反省はしてなかったのでしょう。会長自らがホームページ上で『蓄積したノウハウを生かして、信頼を得るべく努力していきたい』と語っていたようですが、またこんな事故を起こすなんて…」(同前)

撮影・宮崎慎之輔 ©文藝春秋

 事故の裏に透けて見えるのが、南武の「安さ第一主義」だ。

「トラックの積載量は、基準の1・5倍はあったと思います。仕事を頼むと、いつもタイヤが潰れた状態で運んでくるんです。人件費を浮かせるため、一度に大量の荷物を運んでいたのでしょう。そんなわかりやすい違反をする会社は滅多にありません。

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 また、運送会社で使う事業用の自動車はナンバープレートが緑色をしていますが、これは国道交通省から事業許可をもらった会社の車両ということです。それに対して今回の事故を起こした車両が付けていた白ナンバーは自家用車としての登録で、事業として許可を取ったものではない。もちろん違法ですが、同社が白ナンバーで客の荷物を運んでいるのを見かけることもありました」(別の関係者)

撮影・宮崎慎之輔 ©文藝春秋

運転手の休みは年間わずか「68日」

 運転手の労働環境もかなり過酷なものだったようだ。

「梅沢容疑者は日曜日の定休日以外、とにかく働き詰めでした。振替休日もあったかもしれませんが、日曜日にも働いていた姿を見たことがあります。特に南武は休みが少なく、年間で68日しかない。労働基準法で定められた法定休日では、1日8時間勤務の場合で年間105日となりますが、それと比べると圧倒的に少ない。私は大型の免許を持っていましたし、とりあえず働かなきゃと頭を下げ、短期で仕事をもらっていた時期もありましたが、ハードで続きませんでした。今思えば、あんな事故を起こす前に辞めてよかったと思います」(元従業員)