回収カゴになければ机の中、後ろのロッカーの中ぐらいしかない。美咲さんは回収カゴに入れたと思っていたが、N教諭に反論することができず、他の児童がテストを受けている間、ウロウロして探すふりを続けたという。その間、N教諭が美咲さんに声をかけることはなかった。5時限目が終わると、美咲さんに「いつまで探しているんですか!」と言い放ったという。
「その日、美咲は『(漢字テストの)直しを出さないと怒られる』と言って、遅刻したけれど学校に行ったのです。直しは出したと言っています。仮に提出していなかったとしても、1人だけテストを受けさせないほどのことなのでしょうか」(父親)
この日以降、美咲さんはN教諭への恐怖心から、登校しても教室に入ることができなくなった。
3月8日、両親が美咲さんを心療内科に連れて行ったところ、「傷病名:適応障害。抑うつ気分、意欲低下等のうつ症状が出現しているため、当面のところ保健室登校もしくは自宅療養が望ましい」と診断された。話を聞いた医師は「N教諭とはもう関わりを持たせない方が良い」と助言した。
N教諭の執拗ないじめについてはその後両親の追及により、6月に緊急保護者説明会が開かれることになる。ここで初めて事態を知った他の親が子どもに聞き、新たな話が美咲さんの両親に次々と伝わって来た。
N教諭に連れられ戻ってきた美咲さんは、涙でびしょびしょに
たとえば昨年夏ごろ、N教諭が美咲さんを廊下に連れ出し、外から教室の窓をすべて閉め、ドアにカギを掛けて教室にいる児童が外に出られないようにしたという。このことを親に話した児童は恐怖でお腹が痛くなり、トイレに行けずに困った児童も出た。
N教諭が美咲さんをどこに連れて行ったのか分からなかった。しばらくしてN教諭に連れられて戻って来た美咲さんは、涙で服がびしょびしょに濡れていた。この児童は「どのくらい泣いたんだろう」「どのくらい怒られたんだろう」と思ったという。N教諭は何も言わず、「授業をするぞ」と言った。この児童は親に「N先生が怖くて話せなかった」と打ち明けた。
美咲さんには、授業で使うプリントも長期間渡されていなかった可能性が出ている。