横浜市のM小学校4年生の担任だった40代の男性N教諭が、特定の児童に対して「配布物を渡さない」「行事で役割を与えない」「給食を少なく盛る」など執拗ないじめを繰り返し、不登校に追い込んでいた。
いじめを受けたその山本美咲さん(仮名=当時9歳)がこれらのことを両親に打ち明けはじめたのは、4年生になって約10カ月過ぎた今年2月のこと。両親はすぐに学校に話したが、学校の対応は二転三転。
他の児童へのいじめの疑惑も浮上しているが、N教諭に「異動」などの処分は下されていない。美咲さんの両親に話を聞いた。(前後編の前編/後編を読む)
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朝起こそうとすると抵抗し、登校を渋るように
昨年4月、横浜市のM小学校4年生に進級した山本美咲さん(仮名=当時9歳)は、1年生から3年生までほぼ無欠席で、通知表では「はつらつ」と書かれ、学級活動などでの積極性や発言力を評価する所見が書かれていた。しかしコロナ禍による休校の後、5月に分散登校をはじめてしばらくすると様子が変わりはじめた。美咲さんの父親が振り返る。
「それまでの明るさが次第に消え、わざと音を立ててドアを開け閉めするなど、家の中では反抗的になりました」
6月に入ると、担任であるN教諭について「厳しい」「怖い」「宿題を出さないとやばい」と言い出した。
次第に、美咲さんは朝起こそうとすると体に力を入れて抵抗し、登校を渋るようになった。登校しても保健室へ行くようになり、学校から母親に「体調が悪いので迎えに来て下さい」と連絡が来るようになる。
「分散登校もあり、情緒不安定になっているとは思っていました。後に、N教諭はわざと美咲に配布物を渡していなかったことが分かるのですが、この時は知らず、美咲が『プリント(配布物)が無い』と言っていた時は、『失くしたんじゃないのか?』と怒っていたぐらいで……。
『先生が怖い』と言い出した時は、厳しい先生もいると思っていたのです。N先生は、上半身が少しがっちりしていて、目つきが少し鋭いくらいで、特に印象の残らない、普通の人。まさか、その先生にいじめられているなんて想像したこともありませんでした」(父親)
美咲さんが耐えられなくなり、両親に打ち明けたのは進級して10カ月後、年が明けた2月のことだった。
「帰宅して、『ママ、助けて。もう学校に行けない』と言い出し、N先生にいじめられていることを初めて打ち明けたのです。少しずつ話した内容は信じられないものばかりでした」(母親)