横浜市のM小学校4年生の担任だった40代の男性N教諭が、特定の児童に対して「配布物を渡さない」「行事で役割を与えない」「給食を少なく盛る」など執拗ないじめを繰り返し、不登校に追い込んでいた。

 いじめを受けたその山本美咲さん(仮名=当時9歳)がこれらのことを両親に打ち明けはじめたのは、4年生になって約10カ月過ぎた今年2月のこと。両親はすぐに学校に話したが、学校の対応は二転三転。

 他の児童へのいじめの疑惑も浮上しているが、N教諭に「異動」などの処分は下されていない。美咲さんの両親に話を聞いた。

ADVERTISEMENT

(前後編の後編/前編を読む)

「何が問題なのですか?」と聞かれたことも…学校側への対応への疑問

 現在の小学校には、担任を持たずに児童のケアに専念する児童支援専任の教諭がいる。児童支援の教諭の職には、ベテランの教諭が就くという。美咲さんの母親も、何かあれば児童支援の教諭に相談していた。

 2月末、ある配布物が渡されなかったことを聞いた母親が相談すると、児童支援の教諭は「N先生に伝えておきます」と言った。N教諭にどのように伝わったのかは不明だが、数日後、N教諭は美咲さんに向かって「あなたは、もらったかもらっていないかも分からないのですか?」とクラスの皆の前で叱責。後日、その配布物は、児童支援の教諭を通じて母親に渡された。

※写真はイメージ ©iStock.com

 3月4日、漢字テストの直しが提出されていないとして美咲さんだけ理科と社会のテストを受けることができなかった。この日以降、美咲さんはN教諭への恐怖心から教室に入ることもできなくなったが、母親が相談した時、児童支援の教諭は聞き入るばかりだった。

 その後、提出したはずの漢字テストの直しを児童支援の教諭が探すことになり、何回か両親とやり取りしたが、説明には矛盾があった。母親が学校への連絡帳に、話の矛盾点なども書いて改めて説明を求めると、児童支援の教諭は一言も書くことなく、ただ印鑑を押しただけで返却して来たという。

 3月半ば、児童支援の教諭は、N教諭のいじめが原因で美咲さんが保健室登校になっていたにも関わらず、学年末を理由に「N先生に感謝の手紙を一緒に書こう」と言い出した。

「校長にも相談して面談もしましたが、児童支援の教諭も校長も、“こんなことは大したことじゃない”という態度のように見えました。児童支援の教諭には一度、『何が問題なのですか?』と言われたこともあります」(父親)

 3月22日、両親は弁護士を通じて学校に内容証明郵便を送り、それまでに分かったN教諭の行為の確認と共に、N教諭の処分を求めた。内容証明郵便を送って初めて、校長と児童支援の教諭は態度を変えたという。