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愛知が誇る“ナゾのトヨタの駅”「豊田市」には何がある?

2021/07/05

genre : ライフ, 歴史, , 社会

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降りる前からずいぶん立派な豊田市駅

 地下鉄のトンネルを抜けて高架に駆け上り、緑豊かな郊外を走ってしばらくすると、車窓には急に大都会が見えてきた。大きなビルがいくつも建っていて、その間に吸い込まれるようにして電車がホームに到着する。豊田市駅、降りる前からずいぶん立派じゃないか……。地下鉄の車両ならともかく、名鉄の真っ赤な、そして少し古い車両がビル群の谷間の豊田市駅には少し不釣り合いに思えてくるほど、豊田市駅は立派な駅であった。

 

 高架の豊田市駅のホームから階段を降りて改札口を抜ける。改札は少し小さいが、それでも人の出入りが絶えることはなさそうだ。出入り口は東と西にそれぞれひとつ。どちらもペデストリアンデッキにつながっている。まずは東側に出てみよう。

数々の名試合が生まれた豊田スタジアム

 ペデストリアンデッキが広々とした駅前広場を取り囲むようにしてつながっていて、広場の周りのビルに直接通じている。図書館や能楽堂、コンサートホールが入っている公共施設の参合館が南側、北側には名鉄トヨタホテル、駅のおおよそ正面にはイオンシネマも入っているKiTARAという商業施設。広場の真ん中には芝生が植えられて、オープンカフェのような店もいくつかあるようだ。まさに、駅前が豊田市民の憩いの場。

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 駅前の立派な目抜き通りをずっと先に行けば国道153号とクロスして、そこからさらに進むと矢作川を渡って豊田スタジアム。名古屋グランパスのホームスタジアムで、2019年にはラグビーのワールドカップも行われている(日本とサモアの試合も豊田スタジアムだ。覚えていますか?)。

 

 そういえば、名古屋グランパスはトヨタ自動車工業サッカー部をルーツに持ち、いまもトヨタ自動車が筆頭株主である。ペデストリアンデッキには、「豊田市は名古屋グランパスのホームタウン」というよくよく考えると名古屋なんだか豊田なんだかよくわからない横断幕も掲げられている。いずれにしても、とにかく賑やかな豊田市駅の駅前であった。