国内の枠を超え、世界レベルで活躍するものに対し、賞賛の意味を込めて“世界の○○”などと表現することがある。パッと思いつくものは、世界のホームラン王や世界の盗塁王。まあ、いささか古すぎるきらいが否めない。ナボナがホームラン王だという話をしても知っている人は少ないだろう。最近では世界のロードカナロアというのがあった。が、これもちょっとニッチで競馬ファンしか知らないワールドワイドだ。

 となると、誰もが異論なく認める“世界の○○”といったら何だろうか。おそらく答えはひとつ、「世界のトヨタ」である。別にここで改めて説明するまでもないだろう。2020年の新車販売台数では5年ぶりの世界一の座についた、世界一の自動車メーカーである。

世界一の自動車メーカー「トヨタ」の本拠地には何がある?

 そんな世界のトヨタの本拠地はこれまた言うまでもない、愛知県豊田市だ。世界一の自動車メーカーのまさしく城下町。そんな町の鉄道のターミナルはいったいどうなっているのだろうか。

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 何しろ愛知県自体が全国屈指のクルマ社会だと言われる。その中におけるトヨタ自動車の城下町。鉄道は隅っこに追いやられ、どうにもなんともいえない立場に置かれているのではなかろうか。あちこちの駅を訪れて回っている立場としては、つい同情してしまう。

 が、行ってもいないうちからその立場を勝手にあれこれ想像して同情するのはかえって失礼というものだ。まずは豊田市のターミナル・豊田市駅に行ってみることにしよう。

トヨタのお膝元「豊田市」には何がある?

ほとんど隣り合っている名古屋市と豊田市

 豊田市は、愛知県中央部にある都市だ。東部は香嵐渓などがある山間地帯で、矢作川沿いの西側に平地があってトヨタの工場や市街地が広がっている。豊田市駅があるのはその市街地の中心である。

 豊田市駅に向かう方法はいくつかある。乗り入れている路線は名鉄三河線と名鉄豊田線。三河線ならば、名鉄名古屋本線の知立駅で乗り換える必要がある。それは東京から向かうには少し手間がかかる。そこでもうひとつの豊田線だ。

 豊田線は名古屋市営地下鉄鶴舞線と相互直通運転を行っている。名古屋の中心部で鶴舞線に乗れば、そのまま電車に揺られて豊田市駅まで行けるというわけだ。

今回の路線図。「豊田市」には名鉄三河線と名鉄豊田線が乗り入れている
 

 そこで名古屋駅から中央本線に乗って鶴舞駅に向かい、そこから鶴舞線に乗り換えた。鶴舞駅から豊田市駅までは約40分。名古屋駅からひとつ乗り換える手間はあるが、それでもかなり便利な町である。なにしろ東京だったら通勤に1時間以上かけている人はざらにいる。それを思えば、豊田市と名古屋市はほとんど隣り合っているようなものだ。