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世界のトヨタの城下町は「2トップ体制」

 ならば西側に出てみてはどうか。こちらにはまっすぐにこれまた立派なペデストリアンデッキが続いている。その両脇には巨大な商業ビルが建ち、そのうち南側にあるのは百貨店の松坂屋。松坂屋と言えば、東海地方を本拠地とする大手百貨店だ。そのひとつが、豊田市の駅前にそびえているのだ。

 

 さらにそのまままっすぐにペデストリアンデッキを歩いて行くと、ちょっとのどかな雰囲気になったところで愛知環状鉄道線の新豊田駅が出迎えてくれる。

 

 愛知環状鉄道線は、愛知県中央部を南北に走る路線で、東京の人にわかりやすく伝えるとすれば武蔵野線みたいなものだ。他の路線との接続はちょっと徒歩数分を要したりして最高とまでは言えないが、かゆいところに手が届くありがたい路線である。世界のトヨタの城下町のターミナルは、名鉄の豊田市駅を顔役として、脇に控える愛環線の新豊田駅という2トップ体制になっているのだ。

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自動車メーカーの城下町でなぜ鉄道駅が栄えているのか

 しかし、トヨタという世界的自動車メーカーの城下町のターミナルにしては、鉄道駅なのにずいぶん立派に過ぎるのではないかとすら思ってしまう。駅前にも人がたくさん溢れていて、言われなければ世界のトヨタのお膝元だとは思えないくらいだ。これはどういうことなのか。

 

 そこで調べてみると、世界のトヨタさんと豊田市などでは、00年代からマイカー通勤から電車通勤に切り替える取り組みを進めていたというのだ。

 みんながこぞってマイカー通勤をすると、確かにそれは困ったことになる。道路はあまたのクルマで混雑し、きっと遅刻する人も続出してしまうし、町の人々の暮らしにも大きな影響が出てしまう。それではマズい、ということで電車通勤を奨励。それにあわせて、トヨタ自動車本社工場のある愛環線三河豊田駅と新豊田駅の間の線路を改良。2008年からは通勤時間帯に両駅の間を結ぶシャトル列車の運転もはじまった。

 おかげで、豊田市駅と新豊田駅のある中心部も賑わうようになり、渋滞も解消されてみんな万々歳、という結果になったのだ。自動車メーカーなのにクルマじゃなくて電車通勤とは、さすが世界のトヨタである。