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「家がぐわんと持ち上がって、そのまま流れていって…」熱海土石流災害“1日で平穏な日常がふっとんだ”被災地は陸の孤島に…

genre : ニュース, 社会

「山肌を削った泥の塊が水とともに、まるでジェット機のエンジンのような『ゴー』という音とともに流れていきました」

土石流で破壊された家 住民提供

 自宅近くの避難所となった中学校で夜を明かす静岡県熱海市の高齢男性は、そんな風にわが身に降りかかった災害を振り返る。

 記録的な雨量となっていた静岡県熱海市伊豆山地区の逢初川周辺で、午前10時半ごろ土石流が発生した。静岡地方気象台によると、熱海市の観測地点では、先月30日の降り始めから3日正午までに389ミリの雨が観測された。同日午後6時20分までの48時間の雨量は7月としては観測史上最大となった。平年の7月1ヶ月間の雨量を、わずか2日ですでに上回っている状況だ。

被害状況の全容は不明…約20人の安否が分かっていない状況

「県などの発表によると、土石流は伊豆山地区北西の山側から南東方向に約1キロ、幅数十メートルにわたって建物をのみ込みながら海まで流れ出たようです。10棟以上の家屋が流され、約20人の安否が分かっていませんが被害状況はまだ不明な部分が多いので、もっと増えるかもしれません」(地元紙社会部記者)

 同日中には海上保安部が伊豆山港で流された2人の女性を心肺停止状態で収容し、後に死亡が確認された。

現場近くは規制線が張られ、住民も近づけない 撮影・上田康太郎 ©文藝春秋

 同日午後、熱海駅周辺では、被災直後の厳しい生活を強いられる住民の姿があった。多くの道路は通行禁止となり、在来線である東海道線も終日運休。かろうじて新幹線だけが動いている状況だった。

なぎ倒された電柱、水かさを増した水路…

「まるで陸の孤島ですよ。外には出られないし、地域内でも自宅に近づけない。なんでこんなことになってしまったのか」(熱海市の住民)

 規制線が張られ、自宅に帰れない住民の姿も多く見られた。

 停電しているのか、あたりは暗く、遠くに目をやると、煌々と赤いサイレンの光が点在していた。霧のような雨が降り、水かさを増した水路は、不気味にゴーという音をたてていた。周囲のなぎ倒された電柱の様子は、被害の大きさを如実に物語っていた。