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「ワインスタインのセクハラ問題と戦う」社会派ハリウッド女優ジェシカ・チャステイン

ラスベガス銃乱射事件にもコメント

2017/10/29
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©2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA

 このエリザベス・スローンのキャラ設計が、誰からも手放しの好意は受けないような特殊さで、大変見事。根本的に仲間も信用せず、誰も想像できないほど先を読んだ彼女の計画は、身近な人も困惑させる不穏さを孕みます。彼女の些細な仕草――会議や会話相手が喋っている間は常にスマホを打っていたりする、あまりに自己中心的な行動の数々は、スローンが反社会性パーソナリティ障害であると感じさせます。仕事への時間のつぎ込み方や、自己破壊的ともいえる私生活も、ほとんどの人にとって真似できるものではないでしょう。印象を操作する職業に徹した、スローンの高価なブラウスやスーツ、戦闘的な濃いアイメイクと墨色のマニキュアなども、安易に人を寄せ付けない鎧の効果を発揮します。

©2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA

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 ジェシカ・チャステイン自身、Twitterは社会派なツイートがメイン。ラスベガス銃乱射事件の際も、『女神の見えざる手』とまさに重なる出来事だったため、ニュースに随時コメントを添えながらRTしていました。その後ハリウッドでは、大物プロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインによるセクハラ問題が浮上。チャステインは以前から、ハリウッドにおける男女のギャラや立場の不均衡を訴えてきており、今回もワインスタインを批判しました。彼女は「自分は早い時期に、周囲から彼について警告を受けていた。今回ハラスメント被害を明らかにした女性たちを尊敬する」という旨のツイートを発表。それに対し、「だったらなぜ知ったとき明らかにしなかったのか」という批判がありましたが、「なぜ女性だけがそれを求められるのか。男性は何をしてる?」ともっともな反論をしました。