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TOHO横に集まる未成年

――最近、歌舞伎町のTOHO横に未成年の女の子たちが溜まっているという話を聞きますが、どうしてTOHO横に集まっているのでしょうか?

佐々木 Twitterの中に「自撮り界隈」っていうのがあるんですけど、その子たちがリアルに会う場所としてTOHO横を使っていたんです。自撮りしてるかわいい子たちがTOHO横にたまってると、キャッチやスカウトが聞きつけてそれに混ざって、たむろし始めたというのが一応成り立ちらしいです。よくコロナで増えたんじゃないかと言われているんですが、2018年頃からいるんです。

TOHO横に溜まる若者たち   ©今井知佑/文藝春秋

――自撮り界隈とはなんでしょうか?

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佐々木 SNSに自分の自撮り写真を載せて、ハッシュタグで人と繋がる界隈です。「#108円で売ってたら買ってくれる人」や「#自発ください」というハッシュタグをつけていますね。自分をいいと思ってくれたら連絡くださいということなんですけど、今のTOHO横の子たちの多くは自撮り界隈で繋がった人たちです。「#」(ハッシュタグ)って面白くて、今の流行やトレンドを一番表しているものなんですよね。

自撮り界隈が使うハッシュタグ

別に生きてても死んでてもどっちでもいい

――未成年たちはTOHO横に集まって何をしているのでしょうか?

佐々木 彼女たちに「普段何してるの?」って聞いたら、「動画撮ったり、たまに一緒に手首も切ってるよ」って言っていましたね。別にやりたいことはないから暇つぶしにリストカットしようかみたいな。コミュニティの文化の中に死というものがすごい近くにあるんだろうなって思いました。希死念慮じゃないですけど、別に生きてても死んでてもどっちでもいいかなと思っている子が多いように思います。

TOHO横で談笑する若者  ©今井知佑/文藝春秋

 自傷行為って自分の血を見ることで、生を感じていた部分があったと思うんですけど、そのあたりが薄れているというか。一緒にいる仲間が自殺しても「ほんとに死んだんだ」ぐらいの現実感ない感じが…傍から見てるとですよ。本当に当事者のことは取材しないと分からないと思うんですけど。

――実際にリストカットしている子たちを見たことはあるんですか?

佐々木 集団リストカットしているところは見たことはないんですけど、カミソリが落ちていたり、生理ナプキンで止血した跡とか、たまに血がベチャ~と地面についているのは見たことがあります。リストカットしてホストにその血をなめてもらって興奮したとか報告してくる友達も居ますね。

 自傷とか病みが文化の一種になっているんですよ。それこそ地雷系メイクはその象徴です。今はSNSの「いいね」が自分の値札になってるんですよね。例えば100いいねもらっている子と80いいねもらっている子がいたら100いいねもらってる子の方が価値がある、みたいな。可視化されて、値札が付きやすいので周りと比べられるんですよね。それに嫌気がさしてる子や、息苦しさを感じている子が増えています。