18歳未満が働く“アンダー店”には女子高生が集まり、売春していた――。一時は警察の摘発が強化されていたJKビジネス。しかし、コロナ禍の長期化で風俗店も苦境となり、一部の店舗ではいままで御法度だった売春を含む「裏オプ」を黙認している店も出てきているという。

 JKビジネス全盛期に12人の少女たちの声を拾い集めたのが、ベストセラー『売春島』で知られるノンフィクションライター、高木瑞穂氏の著書『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ“女子高生”12人の生告白』(大洋図書)だ。少女たちは、どういう経緯や心境から簡単に体を売ってしまうのか。国連で「人身売買の温床」と指摘された社会の最暗部を描いた作品から、一部を抜粋して転載する。(全3回の3回目/#1#2を読む)

写真はイメージ ©iStock.com

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「警察に見つかってもヤメない」(アカリ、17歳)

 2018年3月、都内の無店舗型のJK散歩店『新宿ピュア2』が摘発された。警視庁少年育成課は、過去の事例に慣い児童福祉法違反の疑いで経営者の男を逮捕した。逮捕容疑は、少女が18歳未満と知りながら、新宿区のホテルで客の会社員の男性とわいせつな行為をさせたことだった。男は「性的サービスはさせていない」などと容疑を否認したという。

 さらに警察は、働く少女も将来罪を犯す恐れのある「虞犯少年」として家裁送致した。少女は同店での勤務以前にも、警視庁が摘発した都内のJKビジネス店計4店舗に勤務。少女は5店舗で約500万円の報酬を得ており、摘発の度に店に出入りしないよう指導したが、応じなかったため送致した。少女は「服や化粧品の購入のためや、ホストクラブで遊ぶお金がほしかった」などと話したという。

 これはJKビジネスを取り巻く現状に、非常に大きな影響を与えるものだと言える。警察は、悪い大人の手引きにより、貧困や虐待という劣悪な環境で育った少女の終着点に裏オプがあるという風潮にNOを突きつけたことになるからだ。

「店に向かっている途中でした。夜7時頃、電車に乗っていたら、池袋の系列店のコから『摘発されたから行かない方がいいよ』ってラインが来たんです」

 新宿歌舞伎町の喫茶店で話を聞いたアカリはJKビジネス店の摘発に遭遇した。働いていた店は、歌舞伎町のJKコミュ『制服相席屋』だった。

 先に書いた、摘発された制服相席屋は「出会い系喫茶」とみなされ風営法違反が適用された。「出会い系喫茶」は無許可で営業できないし当然、18歳未満も働くことはできない。同店の系列店で働いていたハタチの少女がJKコミュの内情を明かす。