「もうフツーのバイトはできない」
「いや、違う店に移籍して、親に内緒で続けているコがほとんど。もちろん、摘発が怖いから『だるいけどコンビニで働く』ってヤメたコもいるけど。みんな、もうフツーのバイトはできないって言ってます。ほら、簡単にお金が稼げることを覚えちゃったから」
なぜ親や警察に嘘までついてカラダを売りたいのか。1章でインタビューしたアコも、この制服相席屋でウリをしていたひとりだった。この摘発を「渋谷の散歩店に入る前から怖いな、とは思ってました。けど、友達と一緒だから、まあ別にいいかな。たぶん大丈夫だろうって。友達は相席屋のガサ入れのとき、その場にいました。その日は、まだ出勤したばかりで稼いでなかったけど、持ってたお金を全部取られたって。それでそのコは親にバレて、『もうJKビジネスはヤメようかな』って言ってました。でも単純にお金が欲しいから、もし摘発現場にいても逮捕されるわけじゃないからね。散歩店は待機所がないから大丈夫かなって」と語っている。
繰り返すが、アンダーを使って闇営業する散歩店は、摘発逃れのために待機所を持たないことが主流になっている。少女を事務所の近場のファミレスやネカフェに待機させ、客から予約が入ればそこから直接、ラブホやレンタルルームに向かわせる。「だからウチは大丈夫だよ」などと、店長から説明があるのだろうか。
散歩店へ移籍し本番行為を解禁
JKビジネス業界は、いまもなお警察と悪徳業者とのイタチごっこが続いている。摘発されれば、また新たな店が生まれる。裏オプしたい少女たちは、そこに我先にとばかりに口コミで集まってくる。そんなサイクルが続いているのである。
アカリも摘発後、都内の散歩店へ移籍した。これまで「狭い店内でやるのが嫌だったから10万円とか提示されても断っていた」という本番行為を、派遣型になりホテルへと移行したことで解禁した。アカリは、「さらに稼ぎが良くなった」とほくそ笑んだ。
制服相席屋は本番が常態化していた店だった。そんななか、なぜアカリは本番をしなかったのか。
「うーん、その頃にはもう、プライベートで彼氏でもお客さんでもない人とセックスを済ませていたんですけど、お客さんとはなかったからなんとなく抵抗があったんです。それでお散歩店でやってみたら、『あっ、大丈夫かも』って」
「その頃は、まだ好きな人としかセックスしたくないと思ってたんだ」
「そういうわけじゃない。一度、何度も来てくれる常連さんに、来てくれるのは嬉しいけど、何度来てくれても『本番はやれない』と言ったら、『まあ、いいんじゃない』と言ってくれて。で、それからも通ってくれた。だから『そこまでしなくてもいいかな』って思った。本番してバンバン稼ぐほどお金も必要じゃなかった。20万くらいなら手や口で充分、稼げたから」