18歳未満が働く“アンダー店”には女子高生が集まり、売春していた――。一時は警察の摘発が強化されていたJKビジネス。しかし、コロナ禍の長期化で風俗店も苦境となり、一部の店舗ではいままで御法度だった売春を含む「裏オプ」を黙認している店も出てきているという。
JKビジネス全盛期に12人の少女たちの声を拾い集めたのが、ベストセラー『売春島』で知られるノンフィクションライター、高木瑞穂氏の著書『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ“女子高生”12人の生告白』(大洋図書)だ。少女たちは、どういう経緯や心境から簡単に体を売ってしまうのか。国連で「人身売買の温床」と指摘された社会の最暗部を描いた作品から、一部を抜粋して転載する。(全3回の2回目/#1、#3を読む)
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摘発や条例の強化で姿を変えたJKビジネス
性風俗では働けない年齢であること、そこに来て性風俗並みに稼げ、しかもラクであることで、13年頃からJKビジネス市場は拡大した。
現役女子高生たちが軽いアルバイト感覚で手を染めていたJKビジネス業界は、摘発や条例の強化により姿を変えた。それまで女子高生の裏バイトといえば出会い系サイトや出会いカフェを介した援助交際が多かったが、08年にメイド文化の発祥の地、東京・秋葉原に誕生した『JKリフレ あきば踏んデレ学園 体育の時間』から、時を経て11年頃に生まれたJKビジネスに変わりつつあった。
JKビジネスを世に知らしめたのは、12年、『女子高生見学クラブ・J-KEN(後にマンボーに改名)』の摘発だった。黎明期は、せいぜい客にマジックミラー越しに下着を見せたり、ハグや添い寝をしたりまでで性行為には至らず、フーゾクというよりはラクして稼げる放課後のコミュニティという側面が強かった。集まる少女たちも、高校中退者や身分を隠してクラブ遊びに耽るギャルなどで、優等生が足を踏み入れる場所ではなかった。
しかし、相次ぐ摘発でソフトな店は消え、行き場を失った女子高生たちはより過激化、アングラ化したJKビジネス店に身を寄せるしかなくなってしまう。いつ摘発されるやもしれぬアングラ店では、少女も経営者も短期間で荒稼ぎするしかなく、そこでは性行為を意味する“裏オプ”が常態化した。そしてSNSや口コミで“稼げる”と知り、いまやフツーの少女がカラダとカネを裏取引するようになった。その取引場はJK散歩店であることが多かった。