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「ガサ入れ時に売春を立証する“現場”がない」

 2013年12月、このJK散歩に初めて捜査のメスが入った。東京・秋葉原で働く15~17歳の現役高校生11人と無職の少女ふたりが一斉補導されたのだ。

 同月、今度は店で知り合った高校2年の女子生徒(17歳)にワイセツな行為をしたとして、客の男が児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)で逮捕された。

 僕はこうして補導や逮捕が繰り返されたJK散歩を取材したとき、ここが売買春の温床であることを痛感した。

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 その背景は、アンダーを雇う店が他になかったことに尽きる。ブログやツイッターだけで宣伝し、女のコの指名やプレイ代を受け付ける実店舗を持たずに“闇営業”するなど、デリバリーヘルスかのごとく運営形態を巧妙化させ、規制強化や相次ぐ摘発を尻目にアンダーと知りながら職場を追われた少女たちを雇っていた。そして経営者がリスクを犯す理由をたどると、決して衝動的ではないこともわかった。

 実店舗を持たぬため開業資金が安く、供給より需要が圧倒的に優っていたため、アンダーたちを口コミなどで簡単に集めることができた。当時は摘発されても職業安定法による有害業務違反が適用されることが通例だったため、罰金30万ほどと軽い量刑が課せられることがほとんど。さらに実態が把握しづらい運営スタイルだったため、先の事例のように働く少女たちの補導か、補導により発覚した客の買春容疑での逮捕が関の山。事実、捜査関係者は「ガサ入れ時に売春行為を立証する“現場”がない。だから、どうしても店舗型より後回しになる」と、地団駄を踏んでいた。

秋葉原に誕生したJKリフレ店から時を経て、JKビジネスとして過激化していった(写真はイメージ) ©iStock.com

「みんな18歳以上じゃないと手を出したがらない」

 アコ(17)が出会い系アプリでの援助交際から散歩店での売春に切り替えたのは、自然な流れだったに違いない。スマホを駆使して自ら客を探さなくとも、ただ待っているだけで客を斡旋してくれる。アンダーの相場が3万円のところ、当初は新宿の散歩店『B』でその半値でカラダを売った。

「当時はそれ(1万5千円)が相場だと思ってました。ていうか、出会い系アプリではアンダーだと買ってくれないんですよ。みんな18歳以上じゃないと手を出したがらない。だから18だとウソをついてた。そうすると“価値”が下がってアンダー価格じゃなくなるんですよ。だから、会ってから16だと打ち明けたこともありました。すると、『あー、おれヤバいわー』と言いつつ、こっちが値段を釣り上げてもやる、みたいな」