曖昧になる、4つの理由
曖昧になる理由の一つは、ネット上でのヘアスタイル写真の載せ方です。
美容師は、クーポンサイトやSNS上に自分の作ったヘアスタイル写真を載せて、集客しようとします。
多くの美容師が、ネット上にアップした写真がより検索に引っ掛かるようにするために「ショート」も「ミディアム」も、どちらのハッシュタグも付けるのです。すると[#ショート]と検索しても、これもショートなの?と思う写真が沢山出てくる。
これは理想のヘアスタイルを探しているお客様それぞれの“ものさし”に当てはまりやすいようにしているためです。ヘアカタログ雑誌でも同じように、髪の長さがページごとに分かれていても、ショートのページに短めのミディアムの写真があったり、ミディアムの中に短めのロングがあったり、幅広くリーチするようにしているのです。
二つ目は、「ミディアム」の範囲が広いことです。
そのため「セミロング」「ロブ(ロングボブ)」など、より具体的な範囲を示す言葉も生まれましたが、これもまた検索されるためのハッシュタグの両用をされやすく、的確とは言い切れません。
三つ目は、ヘアスタイルの名前がその「印象」で捉えられていることです。髪型のネーミングの仕方は明確に定義されておらず、新たな髪型に名前をつけるときは、技術面よりも「見た目の印象」が重要視されます。
ヘアスタイルは、ステキな雰囲気を演出する目的でネーミングされます。ファッション関連の用語は、雑誌の編集部などによってお洒落に名付けられますが、ヘアスタイルはほとんどの場合、Instagramにヘアスタイル写真を載せる美容師個人が命名します。そのためネット上には響きのいいネーミングが散乱しています。
例えば、近年「グレージュ」と呼ばれるヘアカラーが広まりました。グレーとベージュを合わせた造語ですが、これはInstagramから広まった言葉です。
「アッシュ」「マット」「グレージュ」って結局、何色?(操作イトウ)
こうしたネーミングの混乱にもっとも翻弄されているのは、ボブスタイルでしょう。