文春オンライン

「えっ、これがショート?」「これもミディアム?」髪型の“区分”がわかりにくい4つの理由

2021/07/18
note

短くても長い、ボブの定義

 ショート、ミディアムのヘアスタイルに欠かせないのがボブスタイルを切る技術です。ボブスタイルの定義は「毛先が重い」か「フォルムが丸い」こと。どちらかに該当していれば、ボブスタイルだと言えます。

 カット技術の用語における「ボブスタイル」は、絵のように真っ直ぐ切り落として、毛先が重くなっている状態を指します。

 

 しかしヘアスタイルでいう「ボブ」はあくまでも「見た目の印象」を指すため、レイヤーを駆使した髪型でもボブにはなります。

ADVERTISEMENT

 たとえば、毛先に小さな段々を作るカット技術を「グラデーション」と呼びますが、落差が大きくなるほど髪の毛先が軽くなるため、「グラデーション」の方が、多くの人が「ボブ」と聞くときにイメージする髪型になりやすい。

 

 こうした理由から、例えば耳にかかる前後のボブは「マッシュボブ(マッシュルーム状だから)」と呼ばれますが、マッシュボブはコシノジュンコのボブから、男性K-POPアイドルに人気の前髪が重めのショートヘアまで「ボブ」の範疇に入るのです。

 
 

 後者は毛先は重く「丸い」けど、レイヤーによって上から被さる厚みはなく、軽くなっています。

 また「ショートボブ」と呼ばれる、吉瀬美智子さんに代表される女性的な短いヘアスタイルもボブスタイルに含まれるのです。

 

 吉瀬美智子さんの髪型の場合、レイヤーが入っていることで軽やかですが、前下がり(顔に向かって長くなる)にすることで重さを作り、女性的な「丸み」を演出しています。また襟足が短めでスッキリしていることで、重く「丸い」部分が強調されています。

 レディースのヘアスタイルの場合、ベリーショート以外の髪型では重さを残して「丸み」を作ることが多いため、「これはボブじゃない」というヘアスタイルを探す方が難しいかもしれません。