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日本で最も多くのドラフト候補を見ている男が推薦! 今年、西武が獲るべき4人の高校生

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/08/18
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ドラ1候補は最速152キロ右腕

 前置きが長くなったが、以上のことから考えると完成度の高い投手を上位で指名し、野手は下位で素材型を確保するというのが妥当ではないだろうか。

 今年のドラフト候補の顔ぶれを見ても有力選手は圧倒的に投手に多く、西武にとってはある意味願ったり叶ったりとも言える。ただ西武最大の弱点であるサウスポーとなると高校生には1位間違いなしという候補は不在で、前述したように大学生の二人を狙う可能性が高そうだ。

 それでも将来性を重視して高校生を1位でという方針にするのであれば右投手の小園健太(市和歌山)を推したい。最速152キロという数字で紹介されることが多いが、最大の魅力は高校生離れした制球力と投球術にある。ストレートと変わらない軌道から鋭く変化するスライダー、カットボール、スプリットはいずれも決め球として使えるボールで、カーブとチェンジアップで緩急を使うこともできる。高校3年時点での完成度は高橋光成、今井よりも確実に上で、体力面さえクリアできれば2年目から一軍の戦力として期待できるだろう。

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小園健太(市和歌山)

 最大の弱点である左投手では、2位候補として推したいのが木村大成(北海)だ。木村も小園ほどではないものの高校生サウスポーとしてはかなり高いレベルの制球力を誇り、ストレートも春以降スピードアップして最速150キロに到達している。田嶋大樹(オリックス)に雰囲気の似たスリークォーター気味のフォームで、サウスポーらしいボールの角度があるのも魅力だ。

巨漢捕手、大阪桐蔭の外野手も西武向き

 続いて3位以下だが、野手で真っ先に狙いたいのが小園とバッテリーを組む捕手の松川虎生(市和歌山)だ。魅力は強さと柔らかさを兼ね備えたバッティングだ。左足を高く上げる一本足打法のスタイルだが、下半身の粘りがあり、ボールをしっかり呼び込んで広角に強い打球を放つ。ヘッドスピード、インパクトの強さも今年の高校生では間違いなくトップレベルだ。

 若手の捕手という補強ポイントにもピッタリ当てはまり、178㎝、98㎏の巨漢の強打者というのも西武のチームカラーと重なる。スローイングなど守備面で少し雑なところがあり、捕手としての評価が低い球団もありそうだが、巨漢でもフットワークと地肩の強さがあるだけにぜひ打てる捕手として育ててもらいたい選手だ。

 野手で最後におススメしたいのが外野手の池田陵真(大阪桐蔭)だ。172㎝と上背はないものの、たくましい体格を生かしたスイングは迫力十分でミート力も高く、歴代の大阪桐蔭の主砲と比べても遜色ない実力を誇る。足と守備に関しては飛び抜けたものはないが、肩の強さは申し分ない。

 同じ強打の外野手では前川右京(智弁学園)、福本綺羅(明石商)も候補となるが、チーム内の高校卒の若手野手は左打者が多いこともあって、右打者の池田を優先したい。中村剛也、浅村、森と大阪桐蔭出身の選手が主力へと成長した実績のある相性の良さもプラスになるだろう。

 冒頭でも少し触れたが、贔屓の球団に獲得してほしい選手を探すというのもドラフト候補の選手を見る楽しみである。アマチュア時代から注目していた選手が贔屓の球団で活躍するようなことがあれば、その選手の応援にも更に熱が入るはずだ。

 甲子園で熱戦が繰り広げられているということで今回は高校生に絞ったが、今後行われる予定の大学野球のリーグ戦や社会人野球の都市対抗予選なども、同様の視点でぜひ多くの人に注目してもらいたい。

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