接待なんかもそうだと思いますが、値踏みされるというか、ジャッジを受ける立場で食べるのはしんどくて、ジャッジしない人と一緒に食べるご飯が楽しいです。それと、明日も明後日も普通に会える相手と一緒に食べるのも大事です。
──それはなぜですか?
おかざき 毎日あたりまえに会える相手だと、いまある話をつっこまないというか、うまくスルーしてくれる部分があるじゃないですか。アドバイスよりスルーがありがたいと言うか。たまにしか会わない相手だと、打ち明け合ったり解決方法を示したくなりますが、そういうことは、「ご飯を食べる」ときには、それほど重要じゃない気がするんですよね。
──3人が「こういうことがあった」と打ち明けたときに、誰かが解決策を打ち出すでもなく、ただひたすら「おいしい」と言って終わります。
おかざき それが生活だからです。ご飯を食べることって毎日の生活ですよね。相手の悩みに対して「それはこうだ」とジャッジするのではなく、むしろ「ほうほう」と聞いて否定もせず、「それよりこれ、おいしいね」と言う。毎日のことだとこれくらいが、いいあんばいなんじゃないかと思います。
最終回はふんわりとは考えている
──「食べる」という日常を通して、幸福な時間を教えてくれる『かしましめし』ですが、時々先の展開を匂わせるモノローグが出てきて気になります。この先の展開や最終回はすでに考えているのですか。
おかざき ふんわりとは考えています。でも、作者的にはゴールイメージじゃないところに着地するのが面白いので、描いている途中で新しい発見をしたら、そっちに舵を切るかもしれません。いつも連載を描くときに「この人が出てくると話をまとめてくれる」という頼りになるキャラクターがいて、今回はそれが蓮井先生なので、今後蓮井先生が出てくるときは物語が動くかも……。と、自分で言っておきながら、『阿・吽』(小学館)のときみたいに、横から「これどうですか」と言われて「面白そうっすね」と描いてしまうかもしれませんが(笑)。
もうあと何作描けるかわかりませんが、まだ描きたいテーマもあるので、次作の体力は残しつつ、「オイシイ、タノシイ、オモロイ」を描いていけたらと思っています。
(取材・構成:相澤洋美)