スマホアプリはふだんから、ユーザの利用履歴や閲覧履歴など、さまざまな情報をサーバに送信しています。建前上はユーザの承諾を得て送信する形になっていますが、要求されるすべての権限を許可しないと正常に動かないアプリもありますし、なにより利用者にとっては、ひとつひとつのアプリにかまっていられないのが本音でしょう。

 こうしたことから近年、プライバシー保護に主眼を置いたアプリが、世界的に支持を集めるようになりつつあります。利用履歴の自動削除機能や広告トラッキングのブロック機能、運営者であっても覗き見が不可能なエンドツーエンド暗号化など、そのアプローチはさまざまですが、これらがデフォルトで有効化されており、故意に解除しなければ安全が保たれることが、そうでないアプリとの大きな違いです。

Androidアプリのプライバシーを監査する非営利団体「εxodus」によると、例えばLINEアプリには4つの広告トラッカーが仕込まれているほか、アプリ利用にあたって49個もの権限を必要とするという調査結果が表示されています

 今回は、ブラウザ、メーラー、SMS、地図という4つのカテゴリで、プライバシー保護を売りにしたアプリを紹介します。かつてはこうしたアプリは、人に言えない用途で使われるイメージがありましたが、最近では必ずしもそうではなくなり、市民権を得つつあります。いきなり全面的に切り替えるのは難しくても、まずはインストールして部分的に併用するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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ブラウザアプリなら「DuckDuckGo」

 最初に紹介するのは、利用履歴を一切保存しないブラウザ「DuckDuckGo(ダックダックゴー)」です。Googleに対抗するプライバシー重視の検索エンジンとして一部では有名ですが、スマホ向けにはそれら検索エンジンをまるごと組み込んだ、ブラウザアプリとしてリリースされています。

 ブラウザとしての使い勝手は、iOS標準の「Safari」やAndroid標準の「Chrome」とよく似ていますが、ユーザを追跡するトラッカーをブロックする機能に加えて、現在行っている操作セッションをタップ一回で消去する機能や、定期的にタブやデータを自動クリアする機能など、プライバシー保護に役立つ多数の機能が備わっています。

左が「DuckDuckGo」、右が「Safari」。ブラウザとしての見え方には違いはほとんどありません。ただし履歴機能、他のデバイスとの同期機能はありません
データをクリアする頻度や対象を指定できます。メニューは英語ですが、しばらく使っているとおおむね意味が理解できるようになります
トラッカーのブロック状況などはサイトごとに発行されるレポート画面から見ることができます

 あまりに厳格すぎて使いにくいと感じる場合は、特定のサイトをホワイトリストに登録したり、Cookieだけを許可するなどの設定が行えます。このほか、アプリの起動に顔認証や指紋認証を設定するといった、デバイス側での覗き見を防止する機能もあります。

 メニューが日本語化されておらず英語のままなのと、検索エンジンとしてはまだまだ洗練されていないのが玉に瑕ですが、インターネットでプライバシーを守るツールとしては必ず名前が挙がる存在なだけに、まずはサブのブラウザとして、あまり見られたくないブックマークを移植するところから、始めてみてはいかがでしょうか。