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麻生太郎 副総理
「明らかに北朝鮮のおかげもある」

産経ニュース 10月26日

「ヒトラー」「武装難民」「キチガイ」と、どれだけ短期間に失言を繰り返しても平気の平左の麻生太郎副総理。今回は自民党の衆院選大勝について、「北朝鮮のおかげ」と言い放ってみせた。

失言といえばこの人、麻生太郎副総理兼財務相

 安倍首相が北朝鮮の脅威を訴えて「国難突破選挙」とぶち上げたのはご存知のとおりだが、これでは北朝鮮を選挙に利用したと自ら認めているようなもの。政権寄りの報道を続ける産経新聞も「北朝鮮による挑発が続く中で、不適切な発言だとの指摘を受ける可能性もありそう」と心配顔だ(10月26日)。

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 ニューズウィーク日本版は、北朝鮮のミサイルにおびえる北海道えりも町の人々の声をレポートしている(10月19日)。ミサイルが通過したのは上空500キロ以上、落下したのも1000キロ以上離れた太平洋上なのに、Jアラートが鳴り響くたびに漁を営む人々は不安に陥る。同町には「やっぱり安倍さんじゃなきゃ、だめじゃない」と自民党を支持する人が実際にいるのだから、自民党の勝利は麻生氏が言うように「北朝鮮のおかげ」である。

衛藤晟一 首相補佐官
「まさに天の時を得た。全力を挙げて発議する」

時事ドットコムニュース 10月25日

 衆院選の結果を受けて、注目を集めているのが憲法改正だ。自民党と公明党は改憲発議に必要な310議席を上回る議席を獲得している。これに希望の党と日本維新の会を加えると全体の8割を改憲勢力が占めることになる。

 安倍首相は22日の記者会見で「私たちの案を具体的に取りまとめ、そのうえでできるだけ多くの人に賛成してもらえるよう汗を流したい」と語ったが、翌23日に党本部で行われた記者会見では「政治だから皆さますべてに理解をいただけるわけではない」と強調。与野党で合意形成できない場合は、改憲に前向きな勢力だけで発議に踏み切る姿勢を示した(朝日新聞デジタル 10月23日)。

 25日、憲法改正を目指す運動団体「日本会議」が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の集会に出席した衛藤晟一首相補佐官は「天の時を得た」と高らかに宣言してみせた。主催者の一人で、ジャーナリストの桜井よしこ氏は「安倍政権のもとで憲法改正を成し遂げなければならない。このチャンスを逃したら本当に後は難しくなる」と呼びかけた(朝日新聞デジタル 10月25日)。

「天の時を得た」と高らかに宣言した衛藤晟一首相補佐官 ©AFP=時事

「天の時を得た」とは大きく出たものだ。共同通信社が投票日直前に実施した全国世論調査では、安倍首相の下での憲法改正に賛成は34.9%で、反対が51.3%と大きく上回っている。「安倍首相の下での」という質問の仕方がミソだろう。改憲そのものの議論は認めるが、安倍政権下での改憲には反対という声が大きいのである。

 安倍政権下での改憲議論をリードしているのは「美しい日本の憲法をつくる国民の会」だ。同会は以下の7つの項目を改正の対象に挙げている(BuzzFeed NEWS 2016年6月28日)。

「前文」…美しい日本の文化伝統を明記すること
「元首」…国の代表は誰かを明記すること
「9条」…平和条項とともに自衛隊の規定を明記すること
「環境」…世界的規模の環境問題に対応する規定を明記すること
「家族」…国家・社会の基礎となる家族保護の規定を
「緊急事態」…大規模災害などに対応できる緊急事態対処の規定を
「96条」…憲法改正へ国民参加のための条件緩和

 この中で最優先とされているのが「緊急事態条項」だ。自民党の改憲草案にも緊急事態条項について明記されている。2015年11月の参議院予算委員会で安倍首相は「大規模な災害が発生したような緊急時において、国民の安全を守るため、国家そして国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを憲法にどのように位置付けるかについては、極めて重く大切な課題であると考えています」と述べていた。

 一方、憲法学者の木村草太氏は、「緊急事態宣言中、三権分立・地方自治・基本的人権の保障は制限され、というより、ほぼ停止され、内閣独裁という体制が出来上がる」と批判している。

「日本会議」の田久保忠衛会長は、安倍自民の改憲案を「生ぬるい」と一喝。「安倍政権には左からでなく、右からのパンチの方が効くんです」と言い切った(AERA dot. 10月25日)。むろん、右からのパンチを放つのは「美しい日本の憲法をつくる国民の会」だ。憲法改正の議論がどう進んでいくのか、注視が必要だ。