感染した場合の補償も不明瞭
7月23日のオリンピック開会式まで2週間を切った頃からようやくワクチン接種の申請が始まったというが、ワクチンの効果が完全に発揮されるのは一般的に「2度目の接種から2週間後」と言われている。開会式の2週間前に1度目の接種が出来たとしても、8月9日の閉会式にはとても間に合わない。
さらに、万が一コロナウイルスに感染した場合の補償も明確にされていないと前出の女性は不安を口にする。
「入国者の中から、毎日のように感染者が出ていて怖いですが気をつけるしかありません。もし感染したら家で療養することになると思います。貯金があまりないので入院もできないですし……」
安全な空港運営を目指す世界空港評議会(ACI)や国際運輸労連(ITF)は昨年から、各国政府に対して空港で働くスタッフへのワクチン優先接種を呼びかけている。コロナ禍からの回復に向けて、人が移動する窓口になる航空業界の責任は大きく、空港で働くスタッフの安全確保は優先度が高い。
ITFのサイトには、「我々は全ての航空労働者、空港警備員や清掃員から客室乗務員やパイロットまでのワクチン接種と健康・安全の確保を各国政府に求めている。各国政府はこれらの労働者をキーワーカーとして認識し、優先接種の対象とすべきだ」と記されている。
派遣スタッフは職域接種の枠外
しかし、日本の空港スタッフへのワクチン接種は大きく遅れている。
報道によれば、日本航空と全日空が国際線に乗務するパイロットや客室乗務員を中心にワクチン接種を開始したのが6月中旬。
6月21日からは、羽田空港と成田空港で出入国管理や検疫にあたる職員約6000人への職域接種がスタートした。しかしその初日に1度目の接種を受けられたとしても、ワクチンの免疫効果が発揮されるのは開会式を過ぎてからになる。
そして、オリンピック関連のために雇われた派遣スタッフはその職域接種の枠にすら入っていないのだ。