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「照ノ富士は今場所に全てを懸けていました」“元安美錦”安治川親方の7月場所総評

けっぱれ! 大相撲――2021年7月場所

note

 梅雨が明け、暑さが厳しさを増す名古屋。

 これほどまでに暑かったかと、肌で感じる名古屋。

 先場所に続き、私「安治川」が今場所も書かせていただきます。

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2年ぶりの名古屋場所!

 これまでコロナの影響で地方場所はすべて「東京開催」。昨年3月春場所以来の地方場所、2年ぶりの名古屋場所になります。事前に相撲協会全員のPCR検査を実施し、ワクチン接種を行っての名古屋入りとなりました。名古屋入りしてからも、外出制限や行動制限に努め、厳戒態勢で本場所を迎えました。ですから、美味しい「名古屋めし」との再会は果たせておりません。

「ひつまぶし」「味噌カツ」「天むす」など、残念ながらお店で食べることは我慢していました。

元安美錦(安治川親方) ©文藝春秋

 想像しただけでお腹が鳴り出したので、「名古屋めし」のお話は一旦置いておき、相撲の話に戻りましょう。

場所前の照ノ富士は……

 今場所の注目は、先場所優勝した大関照ノ富士の「綱取り」に、先場所は優勝決定戦で敗れはしたものの、成績次第では横綱の可能性もあった大関貴景勝。6場所連続休場から進退をかけて土俵に立つ横綱白鵬。2場所連続10勝で大関復帰に挑戦する関脇の高安。新小結の若手成長株である若隆景と明生や、21場所振りに幕内の土俵に戻ってきた宇良などなど、話題はたくさんありました。

 感染予防のため出稽古がなく、他の部屋の力士の稽古内容の情報が入ってこないため、仕上がり状態については分かりませんでしたが、同部屋の照ノ富士の場所前の様子を少しだけ。

 照ノ富士は5月場所が終わると、すぐに治療に専念していました。両膝、肩、肘に痛みがあり、15日間戦い続けた負担が一気に出ていたのです。私も現役中は15日間終わると膝以外にもあらゆるところが痛み、おまけに熱をよく出し、場所休み(本場所が終わった後の1週間の休み)が寝込んで終わる事もよくありました。それぐらい力士の15日間はハードなのです。