「負けてもいいから強い相手がいる大会に出るべきだ」
朴さんがやってくる以前の日本は、グレードの高い大会を避ける傾向にありました。強敵が出場しないワールドツアースーパー300などでポイントを稼ぐことを狙っていたのですが、朴さんは「トップと対戦しないと自分の実力が分からない。負けてもいいから強い相手がいる大会に出るべきだ」と主張しました。日本代表にはA代表とB代表があるのですが、A代表はグレードの高い大会に出ることが、強化方針として固まりました。
私自身の経験から言うと、自分と同じくらいかレベルの高い相手との対戦は、絶対に必要だと思います。オリンピックでいきなり対戦して勝てるほど、世界のトップレベルは甘くありません。ハイレベルな攻防を制して自信をつける。負けて自分に足りないものを知る。選手にはどちらも必要で、そういう経験が自分を鍛えてくれます。
次世代の選手も視野に入れながら
さらにつけ加えておくと、朴さんは中長期的な視点での強化にも着手しました。
私が学生だった当時は、中学生や高校生が国際大会に出場することはほぼありませんでした。高校生になってようやく、韓国との交流戦があるぐらいでした。中高生年代から世界を意識することはなく、そもそもその必要性に気づく機会がありませんでした。
そこで朴さんは、U ―13、U ―16、U ―19のジュニア日本代表を作って、小学生から国際大会に参加させるようにしました。リオデジャネイロオリンピックに19歳で出場した山口茜選手は、中学生当時からアジアや世界の大会に出場しています。桃田賢斗選手も、U ―13年代のナショナルチームに選ばれていました。彼らにとって世界での戦いは特別なものでなく、外国人選手に気後れすることもないので、国際試合でも普段どおりのプレイができるのでしょう。
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