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「トップと対戦しないと」「負けてもいいから」…日本バドミントン躍進の背景にいた“意外な改革者”が行った取組とは

『日本のバドミントンはなぜ強くなったのか?』より #1

2021/08/03

フィジカルもメンタルも強い韓国

 中国に次ぐ強豪には、韓国をあげます。バドミントンが正式種目になった1992年のバルセロナオリンピックでは、中国とインドネシアに次ぐ4つのメダルを獲得して、金メダルでは中国を上回りました。その後も2016年のリオデジャネイロオリンピックまで、すべての大会でメダルを持ち帰っています。

 韓国の一番の武器はフィジカルです。中国よりも肉体的に鍛えられていて、メンタルも逞しい。韓国の選手たちは、精神的に挫くじけない印象があります。根性があるのですね。

 分かりやすく説明すると――。

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 日本と中国が対戦したら、日本がフィジカルと根性で上回ります。ここで言うフィジカルとは、長いラリーになっても足を止めずに動ける、スマッシュを打ち切れる、シャトルを拾える、といったことを指します。技術で上回る中国が勝つこともありますが、ものすごい消耗戦になったら、日本が勝つでしょう。

 日本と韓国が競せり合いになると、韓国が勝つ可能性が高い。フィジカルと根性は、あちらが上だからです。韓国と中国でも韓国でしょう。

 韓国の選手は、身体のサイズがものすごく大きいわけでも、小さいわけでもない。特徴的なのは厚みです。それに加えて気持ちが強いので、長いラリーでもスマッシュを打ち切れるのです。

 ラリーの連続でスマッシュを打ち切るのは、フィジカル的にとても、とてもキツいのです。スマッシュのような強打をする瞬間は、呼吸を止めているのですが、身体が疲れて「ハア、ハア、ハア」と呼吸が荒くなってくると、身体に力が入りません。息をグッと止めることもできなくなるので、足を踏み込んでパーン!と強打を打ち込みたいところでも、打ち上げることしかできない。

 そういうところでも頑張れるのが、韓国の選手たちなのです。

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