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殺害は2歳の息子の目前で…血痕も足跡も残されながら、未解決事件になっている理由――2021上半期BEST5

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名古屋市西区稲生町5丁目主婦殺人事件

2021/08/18

genre : ニュース, 社会

事件当日の奈美子さんの行動

 現在、判明している奈美子さんの事件当日の行動をたどると、事件前日に「航平が下半身をかゆがるので、明日は病院で診てもらってくる」と悟さんに報告があった。

 事件当日、悟さんは午前9時に出勤。その後、奈美子さんは3階に住むママ友に電話をかけた。彼女の夫が自動車関連会社の社員をしており、数日前に奈美子さんが車のバンパーをこすってしまった件について、修理してもらう約束をしていたからだ。「車のキーは必要か?」と聞くと、「今日は休日だから、まだ寝ている」と言われ、電話を切った。

©文藝春秋

 それから奈美子さんはどこかへ出かけたらしく、9時30分には宅配便の不在票が入っていた。また、ママ友が10時20分と10時40分に電話をかけたときは留守だった。

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 その後、奈美子さんは11時10分に小児科医院に現れ、11時40分には診療を終えて帰宅した。

 正午頃、奈美子さんが自宅に帰って来たとき、ママ友の夫が奈美子さんの車のバンパーに塗料を塗るなどの修理をしていた。そのときに不審な人物は見かけなかったという。

犯行は正午ごろから午後1時までの間

 ところが、それから午後1時までの間に別の住民が、奈美子さん宅でタンスを動かすような大きな物音を聞き、その直後にアパートの階段を人が駆け下りる足音を聞いたという。つまり、犯行は正午から午後1時までの間に起きた可能性が高いのだ。

 夫の悟さんが再び説明する。

「テレビの前のこたつにはお湯を吸ってふやけたカップ麺が置かれていました。テーブルの上には航平が朝食時に残した味噌汁が置かれていました。うちは玄関にきた人物を玄関横のサッシュから覗き見ることができるのですが、当日は宅配便の不在票が入っていたので、インターホンが鳴り、反射的に奈美子が扉を開けたのかもしれない。玄関先には我が家では飲まない乳酸菌飲料の液体が吐き出されたかのようにこぼれていた。その飲みかけのパックが航平が座っていたテーブルの上に置かれていた。おそらく犯人が持ち込んだものでしょう」

航平君はこのテーブルに子供用椅子ごとセッティングされていた ©️諸岡宏樹

 この乳酸菌飲料は製造番号により、約35キロ離れた西三河地区で販売されたものと特定された。遺留品は血痕だけではないのだ。それなのに、なぜ犯人が捕まらないのか。