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――やっぱりその言い方がいちばんしっくりくるんですね……(笑)。『タワー』のネタはその即興的なやり方でできるでしょうが、『アイランド』はエキストラが絡むものもありますし、キャラクターの造形を膨らませていく作業も必要だと思います。どうやって作り込んでいくんですか。

後藤 事前に、作家さんがこの場所でこのネタをやろうって、ピックアップしてくれるんです。で、現場に行って、この場所を使ってこうしようとか、後半はこういう感じにしようとか決めてやっていく感じですね。

福徳 まぁ、大まかな流れは決まっているので、そこまで作り込むという感じでもないんです。

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コント「しょぼい新入社員だと思ったらすごい奴」

――なかでも、「しょぼい新入社員だと思ったらすごい奴」が抜群に面白かったです。取引先とオンライン会議するという設定で、ジャルジャルさん演じる先輩社員が何もできないとナメてかかっていた新入社員が、ビジネス用語を超高速でまくし立てる取引先女性と対等に渡り合い、さらに会議中、かかってきた電話には英語で応対するハイスペックさを見せつける、というものですが。

福徳 あははは! はいはい。

後藤 あれ、面白いですよね(笑)。僕もあのコントは何回も観ました。いちばん観たかもしれないです。

 撮影/宮崎慎之輔 ©文藝春秋

――再生回数もずば抜けていますよね。登場する新入社員と、ビジネス用語を多用する取引先の女性は、エキストラの方ですよね?  特に女性の方は「KPI」とか「ニューフィーチャー」とか「パラダイムシフト」とか、横文字言葉をものすごく早口で話すので、圧倒されました。

福徳 『ジャルジャルに興味ある奴』という“ネタサロン”があって、そこの会員さんが演じてます。会員には学生とか会社員とか、中には俳優の仕事をやっているような方もいるみたいです。この会員さんからエキストラを募集してるんですよ。こちらが決めたテーマで動画撮って送ってもらって選ぶんですけど、あるテーマで募集した時に、できる新入社員をやってくれた男性がビジネス用語をバリバリに話す動画を送ってきてくれて。テーマとは違ったけれど、これおもろいなぁってなって、この方向でコントを作ろうぜということになったんです。なので、あのネタは彼の動画ありきでできたものです。

後藤 何回も応募してくれる会員さんのことは、この人はこういうことができるとか、この人はこういうのが得意やなとか、僕らも認識してるんです。取引先の女性を演じてくれたのは何回か(オンラインでのコントに)参加してくれている方なんですけど、この男性に対応できる人やと思ったのでお願いしました。

「僕らがついにエキストラに!」

――あの2人のキャラクターは、どうやって作っていったんですか?

後藤 僕らは一切、関与してないんですよ。

福徳 川上くんっていうめっちゃしっかり者の構成作家とあの2人で、1時間くらい打ち合わせして決めて。リハーサルもやってましたし、本番の前日に稽古もしてました。

後藤 僕らがついにエキストラになってしまったコントです(笑)。本番で初めて観たんですけど、速いスピードで会話のやりとりをしていて、びっくりしました。想定を超えてました。

福徳 川上くんも手応えがあったのか、「いい感じなので、当日楽しみにしてください」って言ってましたしね。

後藤 服装もエキストラの方の自前なんですよ。だからよりリアルな感じが出たんやと思います。