電話コントらしい「おしっこの音に返事する奴」
――『タワー』に公開しているコントは、数年前ものを今時のツールを使ってリメイクしたものも多いですよね。「真夜中に電話する奴」シリーズは電話でのかけあいをモチーフにしたコントですが、そのなかの「明るいけどほんまは暗い奴との電話」は、以前『タワー』で公開されたコントの別バージョンでした。
後藤 このシリーズは、その場で何をしようか、パッと決めて撮るんです。例えば福徳の家にある扇風機の音を使って「スカイダイビングしながら人生相談乗る奴」っていうコントにしたりと、ファンタジーなものでもイケるというか。声だけやからこそ、普段でけへん展開が生まれることはあるかもしれないですね。
福徳 いつもは後藤と横に並んで電話しているという体で録ってるんですけど、たまにほんまに電話しながら録ることもあります。
後藤 「寂しがり屋のボスと電話するジョボっていう奴」というマフィアのボスと手下を題材にしたものは、ほんまの電話を使って録りました。僕がやってる手下のジョボが、福徳がやってる命を狙われているっていうボスに電話をかけて。ボスがトイレに行ってするおしっこのジョボジョボっていう音に、名前を呼ばれたと勘違いしたジョボが返事をするっていうところがあるんですけど、その音は水道の水でやりました。
「僕らはほかの芸人さんより、技術が足りてない」
――ジャルジャルさんのコントに出てくる登場人物って、奥行きがありますよね。キャラクターの設定が緻密だからか、同じキャラクターでリアルコントや電話、Zoomなど提示方法を変えてネタにしても、何度でも笑えるといいますか。
福徳 いや、本来なら、お客さんのことを意識して、もっと分かりやすい笑いを広げていかなあかんと思うんです。けど、僕らはそこを全く無視していて。キャラクターの役作りに専念しているから、奥行きができていくんです。ほんまの芸人さんはプロなので、もっとわかりやすく見えるように、前に前にアプローチするんですよ。僕らはそこが欠けている分、逆に後ろが分厚くなってるだけなんです。
――欠けてるっていう印象を持たれているんですね。
福徳 僕らはほかの芸人さんに比べて、お客さんに伝える技術が足りてないので。
後藤 そういうところが、YouTubeに向いているのかも。有料のお客さんの前ではなく、無料で見てもらえるからこそ(キャラクターを活かしたコントを)広げられているような気がします。