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福徳が動画で見る“独裁者の卵(っぽい人)”とは

――「独裁者の卵な奴」シリーズも、怖いくらい奥行きが深すぎるキャラクターが出てきます。福徳さん演じる「独裁者の卵」が、後藤さん演じる学生へサークルへの勧誘を早口ですすめるという。このシリーズにいまっぽさを強く感じました。

後藤 おぉ! けど、いまっぽいかな。

福徳 大昔から、歴史上にも独裁者は絶対におる人間じゃないですか?

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 撮影/平松市聖 ©文藝春秋

――そうなんですけれど、最近、そういう人が身近に増えてきた印象ってないですか? YouTuberやオンラインサロンのオーナーに、チラホラと共通点を感じる人がいるような……。

福徳 あぁ(笑)。本番前には、特定の人たちの動画を決まって観てるんですよ。ある種、“独裁者の卵”みたいな吸引力がある人って早口なことが多い。だから本番前は早口で喋る人の動画をYouTubeで観て、1回、耳を慣らしたり、言い回しを参考にしたりしています。もちろん、実際にその人が独裁者の卵かどうかはわからないですけどね。

――話すスピード。考える隙を与えないのは、詐欺の常套手段だとよく聞きますよね。

福徳 たしかに訪問の営業販売とかって、そんな感じですよね。家に来た訪問営業の方もそうでした。めっちゃ早口で(営業の内容を)説明してたんで、思わず「大変ですねぇ」って言ってしまったことがあります(笑)。

大学時代の秘められた“おふざけ”

――独裁者の卵役の福徳さんが着ている洋服も、独特ですよね。全身黒の服に、ベレー帽を被っているという……。

福徳 なんとなくのイメージです。

後藤 よく見たら、仮面ライダーのショッカーですけどね(笑)。

――あのキャラクターは、どこから着想を得たものなんですか?

福徳 元になってるコントは10年前くらいのネタやから、記憶が曖昧なんですよね。タイトルは思い出せないんですけど、大学時代、独裁者っぽい人が出てくる映画を観たことから思いついたような気がします。当時、後藤と2人で、大学の図書館にある休憩室で、変なサークルに勧誘されて引っかかるっていうおふざけをしていたんです。それを他の人に盗み聞きさせて、ちょっとだけ心配させるみたいな。

後藤 お互い、他人のふりをして。

福徳 僕が休憩室に入っていって、先にいた後藤に声をかけて「こういうサークルなんやけど入らない?」って誘うんです。

後藤 で、僕は吸い寄せられるように入ってしまうっていうやりとりなんです。

福徳 このネタのかたちはその頃からやっているものなので、以前からああいう光景ってきっとあったんですよ。

 撮影/宮崎慎之輔 ©文藝春秋

――独裁者の卵を演じている福徳さんの目にも、コント中、後藤さんが発する“吸い寄せられそう”っていう言葉そのまま、独裁者感が出ているように感じます。

福徳 あれは、後藤ありきというか。あのツッコミによって、そんなふうに見えるだけなんです。僕が独裁者の卵を演じてますけど、結果、後藤がみんなを洗脳している。真の独裁者やということです。