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オーディションに受かるため「被らないネタを」

――その構造も、大学時代にはすでに生まれていたわけですよね。

福徳 いま思うと、いちばんおもろかったのは、あの頃かもしれないですね。

後藤 誰にも顔が知られてないからこそできる遊びだったというか。

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福徳 いきなり殴り合うフリをして、その場にいた人を驚かせることもありました。非常識なことでもあるので申し訳なかったなと思う部分もあるんですけど、今はもう絶対にできないことなのでおもろかったなと思えるところもあります。

 撮影/平松市聖 ©文藝春秋

――いたずらっ子ですね。あの、何が目的でそんなことをしていたんですか……?

後藤 ……なんなんでしょうねぇ?(笑)。僕ら、大学に通いながら、吉本の養成所に通ってたんですよ。大学生で芸人になったので。当時、舞台に出る機会自体がなかったこともあって、大学でよくネタみたいなことをやってたんです。

――舞台に出るためには、劇場のオーディションに受からないといけませんもんね。

後藤 劇場のオーディションに受かるのは、すごく大変でしたね。無茶苦茶なエントリー数から、ほんの一握りしか受からない。しかも、チャンスは月に1回だけ。周りと同じことをしてるといくら面白くても埋もれてしまうんですよ。それで他の人と絶対に被らない、尚且つ自分たちがやっててめっちゃ笑けるものをやっていたやと思います。それがいまに繋がっている気がしますね。

相方に厳しい人って、面白い(笑)

――ジャルジャルさんのコントにはよく若手芸人が登場しますが、実際の経験から着想を得たものが多いんですか? たとえば「めっちゃ練習する奴」は、オーディションまでに同じリズムネタを何度も何度も稽古する若手コンビのコントですよね。異様な厳しさで稽古を強要する相方に、もう一方がキレ出すという。

後藤 相方に厳しい人って、面白いんですよ(笑)。

 撮影/平松市聖 ©文藝春秋

福徳 ああいう芸人はマジでいます。誇張なしです。僕ら、根本的に芸人の真似をするのが好きで。若手の頃は、オリラジ(オリエンタルラジオ)とか我が家さんのネタの完コピをようやってましたね。我が家さんだったら、杉山さんの「言わせねーよ?」っていうツッコミが単純に面白くて。オリラジも真似したくなるでしょう?

後藤 武勇伝はやりたくなりますよね。たぶん、カラオケでアーティストの歌を歌うような感覚で、他の芸人さんのネタを真似してました。