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《誤った“五輪ファースト”》「富士山に行きたい」に従え!? 組織委がタクシー会社に「運転手枠」取り消しの横暴《バブル方式完全崩壊》

《誤った“五輪ファースト”》「富士山に行きたい」に従え!? 組織委がタクシー会社に「運転手枠」取り消しの横暴《バブル方式完全崩壊》

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 東京都の新型コロナウイルスの感染者数は31日、4000人を初めて超えた。

 五輪開催中の感染拡大を防ぐための肝として組織委員会が掲げるのが、関係者が選手村と練習・試合会場以外を移動できない「バブル方式」だ。広がり続けるコロナウイルスの感染を防ぐため、関係者の生活区域を必要最低限の場所だけに限定することが狙いだ。

東京シティエアターミナルの様子

 ところが、五輪開催1カ月前の6月28日、日本交通や帝都自動車交通など、関係者の夜間送迎を行う大手タクシー会社6社を集めた説明会の質疑応答で、組織委からそんなバブル方式を無視するような、耳を疑う説明がなされたという。

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「乗車した五輪関係者の指示が最優先」

 説明会に参加した運転手が証言する。

「ある運転手が、現場指揮の優先順位について質問したんです。五輪は大会規模も大きいですし、外務省や警察など関わる関係者の数も多い。いざ、何か判断に迷うことがあった時に、どこからの指示を最優先すればいいのかを確認したわけです」

実際にタクシー会社向けの説明会が行われた現場

 すると、組織委の説明担当者は「乗車した五輪関係者の指示が最優先」だと答えたのだという。前出の運転手が続ける。

組織委が配布した説明会の資料の一部

「運転手が『では、例えば乗客が富士山に行きたいと言ったら、行かなければならないのか?』と質問すると、組織委は『行ってください』と断言した。続けて『関係者がレストランに行きたいと言ったら、連れて行ってください』とわざわざ補足までしたんです。質問した運転手は勤続年数も20年を超えており、過去には国際会議などで閣僚の送迎もしたベテランです。そういった経験から、今回のような国際イベントではどこからの指示を優先すべきかを、事前に決めておかないと現場で混乱が生じることを理解していた。そうした事態を見越して質問したのでしょうが、思いもよらない答えが返ってきました」