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 実力不足を痛感する日々のなかで、数少ないチャンスが巡ってくることもあった。「ロケ担当のときだけ、今日はこんなプレゼンやりますとかってしゃべれるんです。でも、アシスタントみたいな形でしか同行させてもらえなかったので、自分の思うようにまとめることができなくて…… いまだに、あんなことあったなとか、ふと思い出します(笑)」

 女性タレントに求められるポジションも、番組アシスタント程度が多い時代だった。「女芸人さんも今みたいにたくさんいなかったですし、現場も今みたいに女性がいっぱいいるわけではなかったですね。男性ばっかりで、カメアシさんをカメラマンさんが蹴ってるとか、そういうのもあったなって。今じゃ考えられないですけどね。3日ぐらい寝てないADさんとか、いた気がします」

 

ぶりっ子キャラで大ブレイク!

 そんな世界で、さとうはただ真面目に、求められることに応えようとしていた。テレビ的に面白くなければ、バラエティに呼ばれた意味がない。日々悩み、試行錯誤していく中で、遂にひとつの武器を見つけることになる。それが、ぶりっ子キャラだった。やがて、“プンプン”と頭の上に両拳をのせて怒ってみせる仕草がトレードマークとなった。さとうは、そんな自身のブレイクをどのように感じていたのか。

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「ボヤーッとしていて、あんまり考えてなかったですよ。考えていたら、今こんな風になっていない気がするんです。でも、番組を観ている人に喜んでもらいたいなと、私なりにいつも頑張っていたと思います」

 だが、現場では“テレビのお約束”に戸惑うこともあったという。「打ち合わせでディレクターに『今日もぶりっ子全開でお願いします』とか、いろいろ注文されて、カンペでも“ここでプンプン”っていっぱい出されたり。でも、そんなに今プンプンするところじゃないよな、とか……。いいツッコミがないとその場がシーンってなるし」

 それでは、あの“ぶりっ子”はテレビ用のキャラだったのか。「どうなんですかね……。なんか自分のことってほんとに全然わからなくて。もともとぶりっ子なのかもしれないし、ちょっとよくわからないですね。プンプンというのも自然にやっていたと思ってたら、初舞台のときにお世話になった福島三郎さんという演出家さんから『俺が舞台のときに考えてあげたやつだよ』って言われて、そうだった、と思い出しました」

 

「女が嫌いな女」ランキングで2連覇

 最も忙しい時期には、さとうは生放送を週に4日連続、その間に数多くの収録をこなすという、多忙な生活を送っていた。だが、それと同時に、彼女の“ぶりっ子”キャラに対して、女性視聴者を中心に「媚びている」とのバッシングが起こり、女性誌などが「アンチ珠緒」特集を組み始めた。

「女の敵は女である」として「週刊文春」で2004年に始まった「女が嫌いな女」ランキングでは、さとう珠緒は初年と翌2005年にダントツ1位を獲得し、“2連覇”を達成した。世代別集計でも全ての世代で1位に輝いたことは、今も語り草になっている。当時の誌面を見ると、「男の前で媚びるような態度が不愉快」「あまりにもかわいこぶっている」などと、辛辣なコメントが並んでいる。

 ただ、その話題を出しても、さとうは特に表情を変えることもなく、少し不思議そうな声色で答えてくれた。「皆さん、ほんとに怒っていたんですかね? でも、それだけテレビ露出が多かった裏返しかもしれないから、まあいいかなって。出させてもらった反面、そうですよね。いまとなっては人に興味をもっていただけるのは本当にありがたかったなと思います」