韓国人が日本音楽を嫌っていない“証拠”とは?
韓国人が日本音楽を決して嫌いではないことを示す別の“証拠”もある。それは、韓国人アーティストによる、日本の楽曲のリメイクのヒットだ。
代表的な楽曲が、中島美嘉の「雪の華」。パク・ヒョシンによってリメイクされ、曲はもちろん歌手本人も注目を集めた。しかし、韓国ではその原曲が中島美嘉の曲であることは、あまり知られていない。
TUBEの「ガラスのメモリーズ」をリメイクしたCANの「わが人生の春の日は」、広瀬香美の「日付変更線」をリメイクしたM.C the MAXの「幸せにならないで」、尾崎豊の「I LOVE YOU」をリメイクしたPOSITIONの「I LOVE YOU」、平井堅の「瞳をとじて」をリメイクしたチョン・ジェウクの「じっと目を閉じて」などは、韓国で大人気を博したにもかかわらず、オリジナルがあまり知られていないケースだ。
韓国ではやや“辺境”に追いやられた日本音楽だが、その中でも、日本国内よりも韓国ではるかに大きな影響力を見せるアーティストも出てきている。
ここ数年間で、韓国で最も大きな観客動員力を見せてきた日本人アーティストは、「SPYAIR(スパイエアー)」だろう。韓国で知名度の低かった時代から公演などを通じて徐々に知名度を高め、2018年には約3000席規模の公演を完売させるバンドに成長した。韓国では「ONE OK ROCK」に劣らない人気を見せている。
さらに「KK」という名で活動していた上北健の来韓公演も話題を呼び、約3年にわたって4回も2Days公演を開催した。
韓国でこれから人気がでる音楽とは?
今後も、韓国で日本音楽が定着するのは容易ではないだろう。
たとえばアイドルでも、韓国デビューをめぐって様々な摩擦が起きているNiziUのケースを見ると、韓国の大衆は依然として「日本コンテンツの韓国進出は望ましくない」と考えていることが窺える。「K-POP技術の流出」という論点もあるが、それ以上に個人的に感じるのは、日本のアーティストが韓国で活動することに対する否定的な視線だ。
それでも、私が地道に日本の音楽について書き、韓国の人々に紹介していく理由は、それが韓国の大衆にとって、様々なスタイルの音楽に接することのできる最も身近なルートだからだ。
制作者や所属事務所の影響が大きく働く韓国の音楽業界、特にK-POPシーンとは違い、日本は歌詞の表現や音楽性について比較的自由だ。個人的には「自分の基準、価値にこだわっても成功できる」という点が、日本の音楽の一番の魅力だと思う。