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南青山の「子育て支援施設」でクラスター発生 なぜ港区は職員のコロナ罹患を公表しなかったのか?

2021/08/04

genre : ニュース, 社会

 この時点で、港区がホームページで公表していたのは最初の1名の感染判明のみ。

 さらに翌28日(水)になっても、新しい情報のリリースはなかった。そこで終業時間の午後5時を前に、筆者は港区の報道企画担当に、「センター職員の会食をきっかけとしたクラスターの発生」について問い合わせている。

 この時、担当者からの回答は「そうした事案については一切把握していない」というものだった。

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最初の陽性者確認の時点で公表することは可能だったはずだが…?

 しかしその日の午後10時過ぎ、港区のホームページを開くと、「緊急事態宣言下における不適正な会食による新型コロナウイルス感染症の感染に対する港区長のコメント」なるプレスリリースが公開されており、「子育て支援施設の職員8名が、新型コロナウイルス感染症に感染していることが判明」したことや、「このうち3名が一緒に会食していたことが明らかに」なったことが、突然公表された。

港区HPより

 翌29日(木)には始業時間に、当該リリースの問い合わせ先として記されていた、「子ども家庭支援センター子ども家庭サービス係」に問い合わせたところ、担当者は「感染した職員の居住地もそれぞれことなることから、管轄の保健所が異なり、情報確認に時間がかかった」と、クラスター発生の公表までに時間がかかった理由を話した。

 さらにその日の正午過ぎには、「港区内の子育て支援施設における新型コロナウイルス感染症患者の発生について」と題されたプレスリリースが新たに公開された。そこでは、センター内での職場感染が10人まで広がったことや、それぞれの感染者の施設での最後の勤務日とPCR検査の陽性確認日が公表されていた。

港区HPより

 それによると、情報提供者の話の通り26日(月)までに最初の3人の陽性が確認されている。ならばその時点で、その事実を公表することは可能だったはずである。