新築マンションマーケットの実態
2004年当時、首都圏1都3県の新築マンションは8万5429戸供給されていた。ところが20年はコロナ禍の影響があったとはいえ、2万7228戸と3万戸割れになっている。コロナ前の19年でも3万1238戸だ。首都圏における新築マンション供給戸数はこの15年あまりの期間で、なんと3分の1に縮小している。またこの間、新築マンションを供給するデベロッパーの数は4分の1に減少しているのだ。
新築マンションマーケットは、大相撲でいえば、土俵が3分の1に小さくなって、これまで前頭14枚目までで競っていた力士が、小結以上で相撲を取っている状況にある。よく新築マンション業界では、メジャー7(三井、住友、三菱、野村、東京建物、東急、大京)などと称しているが、残った彼らで小さくなったケーキを分け合っているのが新築マンションマーケットの実態だ。
つまり、新築マンションは良く売れているから(需要があるから)、人気で高くなっているのではなく、あんまり需要がなくなったので、デベロッパーが供給を絞って特定の顧客にだけ販売している構図が見えてくる。
マーケットが縮小しているためにプレーヤーも少なくなった。さて、彼らはいったい誰に対してマンションを売っているのだろうか。
新築マンションを購入する「特定の顧客」とは
2010年と20年における各年で供給された新築マンションを価格帯別に比較してみよう。仮に分譲価格8000万円以上を高額物件とする。10年では全体の供給戸数4万4535戸のうち、高額物件は1972戸、全体戸数に占める割合はわずか4.4%にすぎない。ところが20年をみると、高額物件は3925戸で、全体に占める割合は14.4%にもなっている。
つまり、縮小したマーケットの中で、メジャー7などのプレーヤーが相手にしている顧客は、一般庶民というよりも「お金持ち」なのだ。
結論を言えば、最近の新築マンション価格が上昇しているのは、表面的には土地代が上がっているだとか、建物の建築費が上昇傾向にあるなどと分析、説明されるが、本質は違う。供給側が客を選んでいるのである。
8000万円を超えるような物件を喜んで買っている顧客のプロフィールは次の4つだ。(1)富裕層、(2)国内外の投資家、(3)高齢富裕層の相続対策、(4)夫婦ともが上場企業に勤務するパワーカップル、以上だ。