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病室での会話は……
「私たちがお見舞いに行っても、病室の璃花子は僕らに辛そうな顔は一切見せません。ときおり笑顔すら見せて、気丈に振る舞っていました。絶対に弱音を吐かず、病魔と闘うと心に誓っていたんでしょうね。お見舞いに行っても体調の悪い日は顔だけ見て帰ることもありましたが、そうでないときは『しっかり治そうよ』『ちゃんとゴハン食べているか?』と、たわいもない話をしました。水泳の話題はあまりしなかった。病院食に飽きて食べられないと聞いて、スタッフとサンドイッチを探して、差し入れしたこともありました」
2019年12月に退院。それから1年半後の今年4月、日本選手権で、池江は出場した4種目すべてで優勝。日本代表選手に選ばれる。
「ここで勝つって、どれだけすごい人間やねん! 璃花子のアスリートとしての才能、そして人間力にただただ圧倒されるばかりでした。本当に考えられないことでした。プールに復帰してから、わずか1年。まだ身体も元に戻っていないのに、日本のトップに返り咲くなんて……。復帰したばかりの時期に出場したレースから見守ってきたので、衝撃的でした。インタビューで涙ぐむ璃花子の姿を目の当たりにして、私も思わずウルっとしてしまいました」
8月10日発売の月刊「文藝春秋」9月号では8ページにわたって吉田氏の手記を掲載する。そこでは中学時代から選手・人間として池江はいかに成長したのか、復帰後から東京五輪までの道程についても詳細に明かしている。
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