大きな挫折を乗り越えて、今、ジェームズ・ガンが夢を叶えた。
ハリウッド追放の危機から復活
マーベルのスーパーヒーロー映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(2014)を大成功させ、注目の監督となったガンがハリウッド追放の危機に陥ったのは、続編「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(2017)が公開された翌2018年のこと。反トランプ/共和党のメッセージを頻繁に送っていたガンに敵意を持つ保守派の政治コメンテーターが、10年近く前にガンが投稿した下品なツイートのいくつかを見つけてきて、世間に披露したのだ。それらの中にはレイプや子供にまつわる性的なものや、AIDS、9/11を皮肉的に扱うジョークもあった。
折しも、ディズニーは、人種差別的ツイートをめぐって、傘下のテレビ局ABCで人気番組を持つトランプ支持者のコメディエンヌ、ロザンヌ・バーをクビにしたばかり。何もしなければリベラル贔屓と批判されることは免れず、ディズニーは、真摯に謝罪するガンを「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」3作目から解雇した。「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のキャストは、ガンの過去のツイートの内容は擁護しないものの、ガンへの支持の姿勢を見せ、35万人以上のファンも、ガンの復帰を求めて声を挙げている。しかし、ガンはこの対処を素直に受け止め、すでに準備に取りかかっていた3作目から身を引いた。
だが、絶望のどん底にいたガンに手を差し伸べてくれる人は、すぐに現れたのである。ライバルのDCスーパーヒーロー映画のプロデューサーだ。これをチャンスと見た彼らは、ガンに、この中に監督したい作品はあるかと、複数のコミックを提示した。そうして彼は、以前から大ファンだった「スーサイド・スクワッド」を選んだのだ。