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矢口蘭堂と巨災対が“根城”にした首相官邸6つの謎

ゴジラと対峙した「権力の中枢」を徹底解説する

2017/11/12

(4)冒頭で志村が口にした「情報集約センター」って?

 劇中冒頭、東京湾アクアラインでの浸水事故が首相官邸に伝わり(この情報収集を行うのが志村のセリフにもある情報集約センターで、常時4名の職員が5交代制で24時間情報収集にあたっている)、オペレーションルームに各省庁の職員が次々集まってくるシーンがある。『シン・ゴジラ』の設定資料によれば、この日は11月3日。文化の日で国民の祝日で、多くの省庁も休みになっているのに、彼らはどこから来たのだろうか?

 彼らは緊急時に政府の初動対処を行う危機管理参集要員で、千代田区など都心にある危機管理用宿舎に居住しているのだ。公共交通機関が壊滅しても徒歩で参集できる位置に宿舎はあり、持ち回りで参集当番が決まっている。勤務先の近く、それも都心に住めると羨ましく思えるが、参集当番は休日でも自宅で待機していなければならないなど制約も大きい。

(5)冒頭で志村が口にした「キンサンチーム」って?

 劇中冒頭に登場した「キンサンチーム」こと緊急参集チームは、緊急事態が発生した際、内閣危機管理監の指示のもと、関係省庁の局長級職員が30分以内に危機管理センターに参集し、初動対処の協議にあたるものだ。実際に東日本大震災では、発災から14分で協議が始まっている。

 参集するメンバーは緊急事態によってあらかじめ決まっていて、緊急事態発生時にメンバーの携帯電話に参集指示のメッセージが飛ぶ仕組みになっている。東京23区内に震度5強、23区外に震度6弱の地震が発生した場合や、大津波警報、東海地震注意情報が発令された際は、指示を待たずに参集する。

(6)実際の使い勝手はどうなの?

官邸内の会議室 ©文藝春秋

 このように危機管理面での強化が図られた新官邸だが、実際の所の使い勝手はどうなのだろうか。実のところ、不満も多く聞かれる。

 実際に官邸で危機管理対応にあたった複数の経験者から使い勝手を聞く機会があったが、「隣の部屋に行くだけで4回ロックを解除しなければならなかった」「地下の危機管理センターは携帯電話持ち込み禁止のため、政治家が行こうとしない」「ミーティング用の小部屋が少ない」「各省庁に割り当てられているスペースが小さい」といった、厳しいセキュリティからくる運用の不便性や施設的な制約があるという。

 新官邸が出来て早15年。旧官邸より改善はされたとはいえ、まだまだ課題は多いようだ。しかし、日本の行政・危機管理の中枢であることは間違いない。

 もし万が一、災害等で官邸が使用不能になったら? 想像するだけで恐ろしい事態だが、『シン・ゴジラ』ではその万が一に備えた施設が後半の舞台になる。実在するその施設については、次の回で紹介しよう。

(「矢口蘭堂が35キロ歩いてたどりついた、臨時政府・立川防災合同庁舎9つの秘密」に続く)

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