――投稿していたのはストーリーマンガだったんですか?
たき そうですね。今とは全然違って、もっと頭身の高い絵を描いていまいた(笑)。家族ものといか、コメディというか、ちょっとジャンルわけがしづらいマンガでしたね。2010年ごろのことです。ただ連載がなかなか決まらず……。そうこうするうちにWebのイラスト仕事などが増えてきて、そちらがメインになりました。
「猫を挟んだうえでの共感」の心地よさ
――仕事ものマンガに興味があったと言うお話ですが、子どものときからマンガはお好きだったんですか?
たき そうですね。マンガが好きで、マンガを描いていました。友達とのやりとりをそのまま描いてみんなに回し読みしてもらったり……。全然いまとやってること変わらないですね(笑)。うめ先生の周りの人が面白がって読んでくれて、そこからその外側のたくさんの人たちも読んでくれるようになっただけで、本質は変わんないかもしれません。
――どんなマンガがお好きだったんですか?
たき 特に好きだったのは深見じゅん先生『悪女(わる)』(講談社)っていう作品です。今の簡略化した絵のスタイルは玖保キリコさんの『いまどきのこども』(小学館)がルーツだと思います。どちらもどこか淡々としてるんですよね。
本来はマンガって感情を揺さぶることが大事なんですけど、私がそんなに普段大きく感情が動くほうじゃないから、ちょっと引いた目で見るようになっちゃったんです。だから自分のマンガでは、あんまり大きく感情を揺さぶるのではなくて、ちょっとわかるぐらいを目指してます。それぐらいのほうが私にはいいなと思った時に、そのお二方のマンガが浮かんできて、読み返して勉強したりしました。
その点でいえば、今回の猫というテーマは馴染みやすかったのかもしれません。『職場の猫』を読んでくれた人の反応でも、「うちもそう、うちもそう! ところでうちの猫を見てくれ」みたいなものが多くて(笑)。
恋愛ものとかだと、共感って、「私のこの辛さをわかってほしい」みたいなところが私はあまり乗れないんですけど、猫を挟んだうえでの共感は心地いいんです。
――今後の予定は?
たき とりあえずは『職場の猫』を不定期でTwitterにアップしていくつもりです。
あとは今、うめ先生のところで『東京トイボクシーズ』っていうeスポーツのマンガをお手伝いしているんですが、もともと格闘ゲームを観戦するのが好きで、ちょっと詳しかったのもあって、ゲームの内容を一緒に考える担当やってよって言われたんです。それでとりあえず勉強を始めて1か月で世界大会に出たんですが、そのルポマンガを描いたりもしました。
大会の結果は全然ダメでしたけど、自分でプレイするのも取材するのもとても楽しかったですね。そんなルポマンガもまた描いてみたいです。