世界中のSNSで話題になっている日本発の猫マンガがある。たきりょうこさんの『職場の猫』(KADOKAWA)がそれだ。何気なくTwitterに投稿した自身のアシスタント先の猫の生態を描いた4コママンガがあれよあれよという間に拡散され、さまざまな国のたくさんの人たちから反響が寄せられるに至った。こんなにも多くの人を惹きつけた要因はなんだったのか。たきりょうこさんご本人に、その創作の秘密を伺う。
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“おばあちゃんと孫みたい”な距離感の「職場の」猫
――2匹の猫が身近にいる何気ない日常が魅力の本作品ですが、描き始めたきっかけはなんだったんですか?
たき アシスタント先のうめ先生(小沢高広・妹尾朝子の2人からなるマンガユニット)のお宅の猫がかわいかったからですね(笑)。
最初は仕事にするつもりもなく、「かわいかったね」ということを気軽にそのまま描いただけだったんです。文字通り気軽に描いて、気軽にTwitterに投稿して。
だから、後になっていろいろな出版社の方から書籍化のお話をいただいたときに、私が飼い主ではないものですから、これは大変なことになったと先生には改めて許可をいただきました。二つ返事で「いいよ」「好きに描いて!」、さらには「ネタに困ったらいつでも聞いてね!」とまでおっしゃってくださって(笑)、ありがたかったです。
――『職場の猫』というタイトルが絶妙です。この距離感! 「わが家の猫」でもなく野良猫でもなく……。
たき 飼い主ではない私は、無責任に「かわいい」って言ってるだけの立場ですからね(笑)。何の責任もないから、猫が悪さしても怒らないし……。だから猫たちも私のとこに来るんだと思うんですよね。おいしいところだけもらっているような気がします。
――孫に対する祖父母みたいなポジションですかね。
たき たしかに、猫にとっておばあちゃんなのかも……。どっちもすごく人懐っこい猫なんですよね。おねえちゃん(白い猫)のほうは初めてアシスタントに行った日から足元にスリスリしてきて。しじみ(黒い猫)のほうはビビりだから最初は隠れてましたが、3日ぐらいたったらもう膝にのっていました。おねえちゃんはたぶん泥棒が来てもなついちゃうと思う。すべての人間が自分をかわいがるはずだと思っていますね(笑)。