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かたせ梨乃さんが超イキイキと演じてくれた最後のシーン

――本作に限らず、監督は役者にどういう演出をつけられるのですか?

 このシーンでの感情はこうだからこうしてみたいな細かいことは基本、あまり言わないのですが、何かをくすぐっているんだと思います。例えば、“『孤狼の血』に出たら俺の役者のキャリアが何か変わるかも”という予感を感じさせる。そういうポジションにできるだけいろんな役者を置いていくと、その人の気合いが他の役者に伝播するんです。あとは普段やっているような役とは少し違うことをしてもらって、パブリックイメージを崩していく。役者自身に他の監督とは期待されていることが違うと思ってもらうことが重要。そうすると役者はいろいろ考え始めるし、考え始めるとあとはどんどん自然と良くなります。

©2021「孤狼の血LEVEL2」製作委員会

――確かに監督の『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)に出ていた松坂桃李さんのクズ男ぶりは新鮮でした。監督の作品に出たいと思う若手俳優はとても多そうです。

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 光栄ですね。例えば本作で言うと、かたせ梨乃さんは、もう二十何年かぶりの“極妻”役なわけですが、普通はかたせさんに極妻の役は振りにくいですよね。かたせさん自身もおそらくやりきった感もあるでしょうし。でも二十何年空くと新たなフェーズになるから、今回のオファーをとても喜んでくれました。

――かたせさんの最後のシーンも(笑)。

 かたせさん、あの短いシーン、超イキイキと演じてくれて、「本当に最高だった!」とおっしゃってくれました(笑)。極妻にあの役割をさせたのが、おそらくかたせさんにとってはいつもと違っていたんでしょう。

#2へ続く

しらいしかずや/1974年、北海道生まれ。『凶悪』(2013)や『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)で高く評価される。その他、『止められるか、俺たちを』(2018)、『ひとよ』(2019)など話題作を発表し続ける。

INFORMATION

『孤狼の血 LEVEL2』
8月20日(金)全国公開
配給 東映
©2021「孤狼の血LEVEL2」製作委員会
https://korou.jp/