「笑い」を通して、若手お笑い芸人たちの生き様を描く『ニラメッコ』(白泉社)には、大ヒット作『うらみちお兄さん』(一迅社)につながるしかけがたくさん組み込まれている。今回特別に語っていただいたのは、貴重な制作の裏話。『うらみちお兄さん』アニメ化の意外な苦労話も久世岳さんに聞いてみた。(全2回の2回目/#1から続く

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若手芸人5人がシェアハウスで生活

──『ニラメッコ』では、タイプの違う若手芸人5人がシェアハウスで一緒に暮らしています。なぜこういう設定にしたのですか?

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久世岳(以下、久世) 登場人物はみな関西出身という設定ですが、生活の舞台は東京です。これは、関西に住んでいる自分が、東京で仕事をする機会が増えてきた頃に、生まれ育った土地以外で仕事をするってこんなに不安なのかと思った経験がベースにあります。

 それに加えて、「お笑い芸人」は、将来売れるかどうかもわからない不安定な職業です。先が見えない中で夢を追い続ける毎日はすごく心細くて不安だろうけれど、同じ関西人同士がルームシェアで切磋琢磨しながら夢を追いかけると、どんな結束感や葛藤が生まれるんだろう、と思ってシェアハウスという形にしました。

 ──どのキャラクターも強いインパクトがありますが、あくまでも主人公はタイトルにもなっている「ニラメッコ」のコンビですよね。

©久世岳(白泉社)

久世 『ニラメッコ』は群像劇のような気持ちで描いています。基本的には「ニラメッコ」の2人が主人公ですが、『うらみちお兄さん』の表田裏道(おもたうらみち)のように絶対的な主人公というよりは、群像劇のなかの一応の主人公という立ち位置のつもりです。