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《スケートボード》西矢椛(13)が最年少金メダルを取れたワケ 「天才肌ではなかった」“モミちゃん”の素顔――東京五輪の光と影

前日の練習中の怪我により大会前まで車椅子に乗っていたという西村碧莉選手

2021/08/14
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「すごく人懐っこいですね。ババ抜きをして遊んでても手元にババが来ると表情ですぐに分かっちゃうくらいピュア。それに彼女と一緒にスケートボードの撮影に行っても、スケボーが好きすぎるから、止めることなくまだまだやろうよ~っていう感じなんです。いつも明るくてニコニコしている。モミちゃん(西矢のあだ名)は皆のムードメーカーですね」

笑顔の西矢椛選手 ©︎Naoya Sanuki/JMPA

 そう語るのは、フィルマー(カメラを片手に映像作品を制作するスケートボーダー)の村井祐里さん。彼女が語ってくれた素顔は、まさに五輪で見せた“モミちゃんスマイル”そのままだ。

機械のように正確なトリック

 スケートボードはその特徴のひとつに、他の国の選手でもトリックをメイク(成功)したら皆で称え合うというカルチャーもある。彼女の笑顔はまさにその象徴ではないだろうか。

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2018年の全日本アマチュア選手権での中山選手(前列)と西矢選手(後列右)©Yoshio Yoshida

 それでいて繰り出すトリックは機械のように正確。

 ただ、天才肌ではないという。そう語るのは彼女にスポンサーを紹介するなど、面倒見のよいお兄さん的存在のスケートボーダー、森岡正治さん。彼女はとにかく負けん気の強さとビビらないでセクションに突っ込む姿勢が、他のスケーター達とは一線を画していたそうだ。それでいてケガもしないのでみるみる成長していったとのこと。実際に数年前までは腰上ほどまである長い三つ編みヘアーが特徴のごく普通の女の子だったのだが、身体の成長と共にスキルもグンと伸びたことで雰囲気も出てきた。

 1日にして日本のヒロインとなった彼女。これからどんな成長曲線を描いていくのかも非常に楽しみだ。

 では、銅メダリストとなった中山楓奈はどうだろうか。小さい頃から彼女を知る富山市アクティブスポーツ協会会長の高橋亮さんはこう話す。