開会式直前の関係者“辞任ドミノ”に始まり、メダル候補のまさかの敗戦やダークホースによる下馬評を覆しての戴冠劇、コロナ禍で開催され、明暗含めて多くの話題を呼んだ東京オリンピック。ついにその長い戦いも閉幕しました。そこで、オリンピック期間中(7月23日~8月8日)の掲載記事の中から、文春オンラインで反響の大きかった記事を再公開します。(初公開日 2021年7月28日)。

*  *  * 

 空前のスケートボードフィーバーと言ってもいいのではないだろうか!?

 男子ストリート・堀米雄斗の金メダル獲得に続き、スケートボード女子ストリートの西矢椛(13)が金、中山楓奈(16)が銅メダルを獲得。西矢に至っては日本史上最年少というオマケ付きである。

ADVERTISEMENT

スケートボード女子ストリートで金メダルを獲得した西矢椛選手(左)と中山楓奈選手(右) ©︎Naoya Sanuki/JMPA

 かつて日本では90年代のストリートカルチャーブームと共に、スケートボードがフィーチャーされた時代があったが、今の盛り上がりはそれを優に超えているように感じる。

6月に行われた世界選手権では12個のメダルのうち、日本で6個を獲得

 実際のところ、その予兆は直近の世界選手権で男女のストリートとパークの4種目、合計12個のメダルのうち、日本勢で半分の6個を獲得していたからだ。

2021年7月の公開練習 笑顔の中山楓奈選手(左)と西矢椛選手(右)©Yoshio Yoshida

 中でも女子の強さは凄まじく、パークでは1位と3位、ストリートではワンツーフィニッシュとまさに無双状態。

 しかし、その様相は五輪本番では少し違っていた。

 ローマで行われた世界選手権で優勝した西村碧莉は、五輪金メダル候補として名を挙げていたのにもかかわらず、8位に沈んでしまった。実は彼女は、数日前からかかとを痛めており、それもあって大会前日の練習中にレールトリックで失敗し、股関節付近と膝を負傷していた。

 ドクターの診察を受け、骨に異常はなかったものの、かなりのダメージがあり、車椅子に乗っていたという。辞退してもおかしくないほどの怪我であったにもかかわらず、当日は何事もなかったように金色のデッキを持って登場したのだ。前日まで車椅子に乗っていたのは嘘かのような攻めの姿勢は、彼女の気持ちそのものだった。

 そして、彼女と共に近年の世界のガールズスケートボードシーンを牽引してきた28歳のレティシア・ブフォーニもまさかの9位で予選敗退。代わって表彰台に立ったのが13歳の西矢椛とライッサ・レアウ、16歳の中山楓奈という次世代を担うスケートボーダーたち。

8位だった西村碧莉選手 前日の練習中の怪我により大会前まで車椅子に乗っていたという ©︎Naoya Sanuki/JMPA

 まさに五輪は世代交代とスケートボード新時代の到来を告げるターニングポイントになったわけだが、ここまで大きな話題になると彼女達の素顔も気になると言うものだ。