開会式直前の関係者“辞任ドミノ”に始まり、メダル候補のまさかの敗戦やダークホースによる下馬評を覆しての戴冠劇、コロナ禍で開催され、明暗含めて多くの話題を呼んだ東京オリンピック。ついにその長い戦いも閉幕しました。そこで、オリンピック期間中(7月23日~8月8日)の掲載記事の中から、文春オンラインで反響の大きかった記事を再公開します。(初公開日 2021年7月30日)。

*  *  * 

 優勝が決まった瞬間、やはりマウンドには上野由岐子(39)がいた――。

 日本選手の活躍が続く東京オリンピック。7月27日に行われたソフトボール決勝では、日本代表(世界ランキング2位)がアメリカ代表(同1位)を2-0で下し、見事金メダルを獲得。2008年の北京オリンピック以来、13年越しの連覇を果たした。

ADVERTISEMENT

決勝戦のマウンドに立った上野由岐子投手 ©JMPA

 まさに“最強のライバル”同士の死闘となった決勝戦。惜しくも敗れ、銀メダルに終わったアメリカ国内において、この最終決戦はどのように報じられたのだろうか。歴史的一戦を巡る、海外メディアの反応を見てみよう。

アメリカにとっても“悲願の復活”だった

 北京オリンピックで日本が金メダルを獲得して以来、ソフトボールは五輪競技から姿を消した。今回、日本にとっては3大会ぶりの“悲願の復活”だったが、その思いはアメリカでも同様だったようだ。

 ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)は、アメリカの銀メダル獲得を報じる記事の中で、「北京で日本に負けたことは、それまで1996年、2000年、2004年と(オリンピックで)負け知らずだった『絶対王者』アメリカの連勝記録に待ったをかけた。そして、アメリカチームはリベンジ・マッチを10年以上も待たねばならなかった」と、今回のオリンピックに対する思いを述べた。

©JMPA

 ESPNもまた、「ソフトボールがオリンピックに戻って来ることが決定したその瞬間から、この試合が行われるのは決まっていたようなものだった。ソフトボールのオリンピック史上、初めてアメリカが金メダルを逃した2008年から13年、リベンジの機会が巡ってきたのだ」と、この決勝戦がアメリカにとっても待望の“再戦”だったことを強調している。

 連覇をかけて自国開催のオリンピックに臨んだ日本。そして、“最強王者”のプライドをかけて13年ぶりのリベンジに燃えていたアメリカ。決勝戦は、そんな両国の思いが激突した試合だった。