文春オンライン

「久美さんに“紗理那、このままじゃだめだよね”と言われて…」 負傷のエース・古賀紗理那が日韓戦前に出していた“無言の圧”――東京五輪の光と影

日韓戦はフルセットの末に敗退

2021/08/14
note

コートの6人にしか分からないこともある

「コーチの元には即座にデータが入ってくるので的確な指示がもらえるけど、でもコートの6人にしか分からないこともある。そんな時はコーチに遠慮せず声を上げた」

 セッターの籾井あきにも試合中に助言をしている。

「籾井は初めての国際大会だったので、サインに迷っている時があった。だから瞬時に、誰に打たせるのがベストか声をかけた」

ADVERTISEMENT

 古賀は試合中だけでなく、練習中からメンバーに声をかけている。

「練習中、ちょっとでも仲間との意識のずれを感じたらその場で声を掛け合い訂正。以前なら、後で言おうと思ってもそのまま忘れてしまうことがあったけど、思いついたらすぐ言葉に出すことにしました。言うということは責任を伴うことでもある。その責任を負う覚悟もできました。だって、メダルを獲りたいですから」

中田久美監督 ©文藝春秋

 メダルへの執念はケニア戦で負傷した後でも変わらなかった。中田が言う。

「紗理那からの(試合に出してほしいという)無言の“圧”が凄い」

 だが中田は、古賀の“圧”に負けるほど非科学的な監督ではない。

「チームドクターやトレーナーと相談の上、コートインさせました」

 優雅なペルシャ猫から獲物を狙う雌豹に変貌を遂げた古賀は、8月2日のドミニカ戦で鋭い牙をむくに違いない。

「久美さんに“紗理那、このままじゃだめだよね”と言われて…」 負傷のエース・古賀紗理那が日韓戦前に出していた“無言の圧”――東京五輪の光と影

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー