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「うちの家族、やばいんですよ」
中学から東京北区のJOCエリートアカデミーに入校するため、親元を離れた。
「ホームシックにかかることは1度もなかった。もともと我が家は小さいころから、自分のことは自分で決めなさいと言われていたし、一時は何で親が決めてくれないんだろうと思ったこともあったけど、今はそういう風に育ててくれたことに感謝しています」
そして苦笑いしながら続ける。
「うちの家族、やばいんですよ」
母と祖母は元教師、父は内科医、そして数学者の祖父は国立大学の名誉教授でもある。
「だから私も、卓球止めたら勉強しないといけないのかな、って。でも、医者にはなれない、血が怖いから。顕微鏡を眺める研究医だと眠くなりそうだし、あ、薬剤師とかならいいかも」
そう言いつつ、急に真顔になった。
「でもやっぱり私の夢は卓球で世界一になること。しかもダントツで。2位以下をぐんと引き離し、1位平野美宇、そしてそれ以下のグループ、と言われるようになりたい」
東京五輪で出場の夢を叶え、銀メダルを獲得した。打倒中国に燃える21歳の平野にとって、東京五輪はまだ夢の途中である。