「いやあ、またどうしてこのタイミングで出るんだと思いましたよ」
旧知のスポーツ紙記者が、電話の向こうで弱々しい声で話している。頭を抱えている光景が浮かんでくる。
発言は、福原愛さん(32)が中国メディアのインタビューに出たことについてだ。
福原さんは青森山田高校在学中に中国超級リーグでプレーしており中国語も堪能で、中国で最も人気がある日本人の1人だという。
「福原と中国の関係が深いのは周知の事実ですが、わざわざ『国対国』の構図が強まるオリンピックではなくても、と感じた人は多かったでしょう。しかも内容を見ると『日本と中国のどちらを応援するか』という質問への答えが見る人の気持ちを逆なでするものだったんです」
『日本に金メダルをとってほしいと思っているけれど』
福原さんが答えたインタビューというのは、8月5日に公開された「看看新聞」という中国の新聞のサイトに載ったものだ。教えてもらったサイトをのぞくと、茶色のワンピースでメイクも大人っぽい雰囲気でまとめた福原さんがインタビューに答える動画が確かに掲載されている。
インタビューでは、混合ダブルスで金メダルを獲得した伊藤美誠選手や水谷隼選手の強さなどに続けて、日本と中国が金メダルをかけて戦った女子団体の決勝戦の話題になった。
「インタビューが行われたのは決勝戦の直前でした。中国と日本のどちらを応援するかという質問に『日本に金メダルをとってほしいと思っているけれど、混合ダブルスは仲のいい友達の劉詩雯選手が出ていたので複雑な気持ちだった』と話しました。『女子団体に劉選手は出ないので、混合ダブルスほどは迷いません』と日本への支持を表明しています。ここまでは、日本に軸足を置いたうえで中国への愛情も示すいいバランスでした」
しかしその後の発言が、卓球界で波紋を呼んでいる。